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リサコラム
連載569回
      本日のオードブル

思い返せばいろいろ
ありまして


第11話


「グーグル・トマコ
のやり方」



木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただし
お酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。


数種類の
コバルトブルーの
タイルカーペットを
敷きたかったのです。
それに、天蓋カーテンも、
ピンクのベッドリネンも。
私のこの部屋のお手本は
パリのフォーシーズンズ
ジョルジュ・サンク
リッツカールトン
マンダリン・
オリエンタル
パリ
そしてナポリのダニエリ、
そのほかたくさんの高級ホテル
でも私だけのベッドはここしかないの。


 
      
  





        


第11話  「グーグル・トマコのやり方」



 「何で読んだのか忘れてしまったんだけど、あるウェイトレスの女の子がね

魔法使いみたいなおじさんに、一つだけ自分の夢を叶えてもらう話なんだけど

その夢は何だったかずっと思い出そうとしてて、でも思い出せないのよね。


            


トマコ、そんな小説、知らない?」


 トマコという電話の相手は名著の朗読をするアナウンサーのようなおっとりした

落ち着いた声で、「ふ~ん、それって、昔ばなし?それとも小説?」と聞いた。


            


 「う~ん、時代は現代だったと思う」トマコは「キュウちゃんが思い出せないな

ら、私はダメよ」と言うと、耳にイヤフォンを突っ込んで、書庫の中で本を探し始

めた。


 「そんなことないよ。人間グーグルって言われるトマコなら、わかるはずよ~」

「おだてないでよ。この私が人間グーグルなんて、ありえない~」トマコの声は裏

返ったが、まんざらでもない雰囲気にもとれた。


            


 「でも、今、ちょっと取り込んでるから、また後で調べて連絡してもいいかな?

それとも、その雑誌の締め切り、今日とか?」「いえ、ごめん。忙しかった?もち

ろん、あとで構わないわ。締め切りはもちろん近いけど、まあ、ちょっとそんな話

が頭に浮かんで、別にそれってわけでもないから。でも気になってくるとなんか筆

も鈍ってきちゃってね」「キュウちゃんが鈍るなんて、珍しいね。いつもさらさら、

スムーズに、締め切りなんてはるか先のことみたいな涼しい感じなのに」


            


 「まっさか!それって、トマコのことでしょ、わたしなんて、いっつも行き詰っ

てるのよ。もう書けなくなるか、もう書けなくなるかって、毎日、不安と戦ってい

るんだから」「へ~、ほんとかな~?」「そうよ」「それならね、そんなときは、

ホテルの便せんに手で書くていうのはどうお?効果あるわよ」「ホテルの便せん

に?」「うん。文豪って、みんなホテルにこもって小説書くじゃない、きっとホテ

ルの無料の便せん使ってた人もいたと思う。私もね、ホテルに泊まるたびに持って

帰ってくるのよ。それでも最近は置かないところが増えたけどね。シャンプーとか

コスメを全部持ち帰るのはなんか恥ずかしいけど、便せんと封筒ならなんかよくな

い?そんなコレクターもいるんじゃない?こんな世の中だから」トマコの声はうっ

とりと夢見るような声色に変わっていた。


            


 先ほどは忙しいと言っていたトマコこと、智子の忙しいというのは、実は口実だ

ったのかなと、キュウちゃんこと、久美は思った。


            


 「へ~、知らなかった、トマコってそんな悪癖があったのね?」「悪弊なんて、

失礼ね。でも、もう何年も前だけどベニスに行ったときにね、その当時の名前で、

ホテル・ダニエリってところに泊まったのよ。そこの便せんは素敵だったわよ。ど

このよりね。もちろん便せんだけじゃなくて、ホテル自体が宮殿みたいで、すっご

くゴージャスなの。ベネチアンガラスのシャンデリアがものすごくて。それに階吹

き抜けの階段室がほんとうに迷宮って感じだった。実は、ジョルジュ・サンドと

ミュッセがお忍びで泊まっていた部屋にどうしても泊まってみたくてね。それにそ

こで女スパイ、『ニキータ』も撮影されたらしくて、ほんとにすばらしいホテルだ

ったわ。でも、キュウちゃんなら知ってるでしょ?」


            


 久美は少し考えて、「ホテル・ダニエリ?いや~知らないわ」と言ってから、

「でも、トマコがすごいって言うならぜひにでも行ってみたいわね~」と答えた。

「ええ、ぜひ。ほんと素敵よ。14世紀の貴族の匂いがするわよ。私ね、自分の誕

生日にご褒美のつもりでナポリにひとり旅で行ったんだけど」「ほう、そう」

「でも、イタリアはそこしか泊まってないのよ。でも、ナポリは堪能したわ。部屋

からゴンドラを眺めながらね。それにイタリア料理もね。でもね、それまで夢だっ

たのに、なんだか自分が描いていた夢はもっと先があるのかもってそんな気がした

のよね。ここに泊まるのが夢だったんだけど、いざ、それを達成すると、つまりは

ゴージャスンな夢の体験も1週間もいたら、日常の風景に溶け込んでしまって、あ

んまり非日常な気分でもなくなるのよね」


            


 「へ~そんなものかな?わかるような、でもゴージャスはホテルステイなんて

やったことがないから、そんな夢の世界が非日常じゃなくなるなんてちょっとすぐ

には理解できないな~。でも思い出には残るでしょ。あとから思い出すと、やっぱ

り非日常って感じじゃないの?」「うん、それは言えるね。またとなくゴージャス

ないい誕生日プレゼントだったって感じだけね。でも、結局、感動って、払った金

額によるところもあって、ホテルに足を踏み入れた時は、思い切り奮発したから、

感動しなきゃもったいないって気分も手伝って、これで私の憧れも達成できたって

感じで最高だったんだけど、でも、やっぱり私の夢はたかだか、ゴージャスなホテ

ルに泊まることだけだったのか、ってね~そんな風に思ったとき、夢って簡単に答

えられるものじゃないなって。だって達成したら現実だから、もう夢じゃないもの

ね。それなら、夢は夢のまま迷宮入りさせた方が目標になっていいんじゃないか

なって


            


 黙って聞いていたきゅうちゃんは小さく、「あっ」と叫んだ。「そうだ、わかっ

た。あれ、あれよ、う~ん、あれ、ここまで出てきてるんだけど。村上春樹の、

短編よ。高級なイタリアンレストランに勤めるウェイトレスの誕生日に、不思議な

オーナーが夢を一つだけ叶えてあげるって、そんなストーリーだった、たしか、

そう、そうよ」トマコはぽかんとした声で「そう?」とだけ言った。


            


 「あ~、すっきりした!おかげで思い出したわ~ここまでわかれば、タイトルは

パソコンで見つけるから」「そう、それはよかった」「それにね、」きゅうちゃん

は勢いがついたように少し早口になった。「結局、オーナーに彼女が叶えてもらっ

た夢というのは最後まで語られないんじゃなかったけ?まあ、いいわ、村上春樹を

思い出しただけでも。ああ、トマコ、ごめんね。聞いておきながら」「いや、いい

のよ。よかったね。お役に立てなかったけど」


         


 トマコは電話を切ると、手に持った本を持ってベッドに腰かけ、村上春樹の

『バースデイ・ガール』を読み始めた。



   



 上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1
  
    素敵なホテルを夢にしていた昔が
   今ではちょっと懐かしい感じです。
   やっぱり、自分の部屋が一番いい気がします。  

p.s.2
  
   教え方は大事ですね。
   上から目線ではなく、さりげなく引き出すような、
   そんな教え方、理想です。

  「もの、こと、ほん」は下の写真から。
           
             


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
    英語版を出版いたしました。
    "Bedroom, My Resort"の英語版がようやく出版されました。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。

           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTood Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.2
    下は日本語版です。
    E-Book「
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。

                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。




シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-               

(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      

Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。                                
    
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