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リサコラム
連載604回
      本日のオードブル

愛おしいひとびと

第6話


「公民館の会議室」



木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただし
お酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




ロイヤル
ブルーの
ふかふかの絨毯に
クイーンサイズの白いベッド。
ブルーと白のストライプのオットマン。
装飾を施した白とフォレストグリーンの壁は
美しいコントラスト
濃紺の額縁付きの白い
カーテンはバスルーム
との間仕切りです。
ウッドデッキからは
運河に行き交う
遊覧船を
眺める
ことも
できま
すが、
さて、
こんな別荘、おいくらなら買いますか?




 







        

第6話 「公民館の会議室」




 
「先ほどのご質問の、成人した子供との別居に関してですが、まあ、私自身、

特に、見識を持っているわけではございませんが、長年、世界中の皇室の研究を

しておりますと、皇室なりの子育てのやり方に優れた面を見い出すことができま

す。しかし、別荘するにはそれなりの覚悟も必要だと、」講師の先生はそこで

「あっ」と言うとしゃべるのを止めた。そして、1段高くなった壇の上で口を

半分空けたままで固まってしまった。


            


 「せんせ、どうなさいました?」中年を過ぎたスキンヘッドの男性が身を乗

り出して言った。「いえ、すみません。私、今、言いまちがいましたね、別荘

ではなく、別居です。失礼いたしました」先生はあたふたと手元のノートをひ

っくり返してはまた元に戻し、さらにまたひくり返した。「せんせ、なんか、

おかしいよ。だって、ノートが、回転してません?」最前列の中年の女性が後

ろを振り返りながら数人に言った。


            


 「その、私が申し上げたいのは、成人した子供とは、「別居」するのがいい

と思うのですが、それなりの準備と覚悟はお互い必要だということです」今度

は赤いワンピースを女性がすぐに手を挙げた。


            


 「わかりますけど、せんせ、そんなん無理ですって。うち、そんな余裕あり

ません。それに子供に一人暮らしなんてさせたらグレると思いますわ」「それ

はやってみないとわからないと思いますよ~」最後列の40代後半のサラリー

マン風の男性がその女性に向かって発言した。次に、中ほどに座った70代の

上品な雰囲気の女性が手を上げた。


            


 「ほんとは、ご自分がお寂しくって、お子さんをひとり暮らしさせられない

んじゃありません?だってそうでしょ。今は18歳から選挙権がありますの

に。30歳を過ぎて親と同居することなど、昔は考えられないことでしたよ。

こう言っては何ですがね、今の世の中、子供に甘すぎると思いますよ。私たち

世代は、先生も親も厳しかったんですから。私なんか、16歳で、親からの一

銭の仕送りももらえず、自活しなさいって、放り出されましたんですから」


            


 すると、スキンヘッドの男性が手を挙げた。「賛成ですね。社会の荒波にさ

らすことこそ、今の自由な社会に必要なことじゃありませんか?まあ、荒波と

言っても、昔ほどじゃありませんよ。職はいくらでもありますよ。文句言わな

ければね。それに、職場改革に、働き方改革でしょ、いっそ共同住宅に住まわ

せるのもええと思います。第一、甘やかしていいことなんて何一つありません

よ。あの、ほら、チャールズ皇太子のとこの、お嫁さんのお婿さん、なんて言

いました?若いころ、厳しい修行に出られたんですよね。なんかビデオで見ま

したけどね。共同生活で、薪で料理したり、きれいとは言えないお手洗いも掃

除なさっておられましたよ」


            


 「ああ、キャサリン妃?」赤いワンピースの女性が言うと、ブルーのボーダ

ーシャツを着た中年の女性は、「キャサリン妃はお嫁さんだから、そのキャサ

リン妃のダンナさんでしょ」と言った。スキンヘッドの男性は頭を振った。

「違う、違う、チャールズの皇太子の息子さんは、なんて呼べばいいのかを、

聞いてるんです」「そりゃ、女性が強いエリザベス女王のお国ですからね、

やっぱり、キャサリン妃のダンナさんでしょ」赤いワンピースを着た女性が冗

談めかして言うと、「ヘンリーちゃう?」どこからか声が聞こえた。


            


 「違うと思うよ。ヘンリーはダイアナ妃のダンナさんやろ?キャサリン妃の

お婿さんだから、ほら、ほら、あれ、え~」講師の先生と2、3人は笑いをこ

らえていた。「ヘンリー王子はチャールズ皇太子の2番目のご子息です。キャ

サリン妃の配偶者はウイリアム王子ですね。つまり、みなさん、キャサリン妃

にはご興味があっても、そのダンナさまには大してご興味がおありではないと

いうことですね。」赤いワンピースの女性が間髪入れず、叫んだ。「そりゃ、

そうですわ~。だってきれいだもん。スタイルは抜群やし、ファッションセン

スも、頭もいいし、もう、文句のつけようがありませんよ~」


            


 「わたし、なんかで読みましたけどけね、」ブルーのボーダーシャツを着た

女性が間髪入れず、発言した。「1800万!キャサリン妃が1年にお使いに

なられたお洋服の金額が、1800万円ですよ」「わ~もったいないわ~」

赤いワンピースの女性は驚きの声を上げた。


            


 「私なら、その1800万円で別荘マンション、買いますよ~。だって、

この前、チラシ入ってましたけどね、なんかテーマパークみたいな素敵な別荘

地ができてるんでしょ。ハウステンボスみたいな素敵な洋物の建物で、人工の

運河の周りにね、リゾートホテルみたいなマンションがたくさんできてるて。

バルコニー付きのスイートの部屋一部屋とバスルームとミニキッチンで、1

800万よ。レストランはなんぼでもその周りにありますしね、大きなキッチン

は必要ありませんしね。私なら、絶対、それ買って、ひとり暮らしたいわ~


            


 すると、サラリーマン風の男性が口を挟んだ。「あなた、さっき、言われま

せんでした?ほら、うちには子供を外に出す余裕ありませんって、でも、ご自

分が出る余裕はおありなんですね?」すると女性はすぐに答えた。「それは、

別腹ですわ。いや、別の考え方って意味でね。私だって、キャサリン妃が着て

るみたいなドレス着て、バルコニーから行き交う船に向かって手を振ってみ

たいわ~。ロイヤルブルーの絨毯を敷いたベッドルームに大きなベッドがあっ

て、ぴんと伸びた白いベッドリネンでぴっちりメイキングしたベッドで、美し

く休んでみたいわ~きっと最高よぉ~」


            


 先生が手をたたいた。一同は一瞬だけ、シンとした。「あの、みなさん、先

ほど言いたかったのはですね、行き詰まった時は、別荘感覚で考えればいいと

いうことを、それを言いたかったんです。何事にも当てはまると思います。ち

ょっと離れてみれば、冷静になれることも、解決できることもあるのではない

かとね」


            


 赤いワンピースの女性はニタニタと笑いながら手を挙げた。「せんせ、もし

かして、私の言った別荘、買うおつもりなんですか?」講師の先生は腕時計を

ちらっと見てから、その質問には答えず、「お時間ですから、今日はこれで終

了とさせていただきますが、別荘感覚で、行き来できる距離で離れて住んでみ

る、そういうことでございます」先生は言い終えると、段を降りて、お辞儀を

すると会議室から出て行った。


            


 「せんせが言われるように、私も同感ですよ。別荘感覚で離れて住んでみる

といろいろと発見もあると思います」ボーダーのシャツを着た女性はそう言う

と、赤いワンピースの女性の隣に腰かけて、スマホでその別荘マンションを検

索し始めた。


            


 終わりがけに参加した50代の男性が隣のスキンヘッドの男性に方に身を

乗り出してて尋ねた。「あの、結局、今日のテーマはなんだったんです?

私、あとから来たもので、よくわかりませんでしたけど」


 「ああ、皇室のあれ、別居問題、いや、違うな、別荘、別荘問題ですわ」

「ですか?」「ええ、きっとそうですわ」


            


 スキンヘッドの男性は立ち上がり、ドアまで行くと、軽く片手を挙げた。

「でも、この会議、気晴らしにいいですよ。いつもこんな調子ですから。

それじゃ、また盛り上がろうな」と言うと、公民館の会議室を出て行った





   




 上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1
 
 公民館でこんな会議が開かれているかどうかは
 わかりません。
 できれば、関西弁のアクセントで読み返していただければ、
 少しは味わいが増すかもしれません。
 大阪、京都、近県、一度は住んでみたい場所です。


  「もの、こと、ほん」は下の写真から、
           
            


p.s.2
   
 E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
   
 英語版を出版いたしました。
    "Bedroom, My Resort"の英語版がようやく出版されました。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。

           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTood Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    
E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
  
 どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。

                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。






シンプル&ラグジュアリーに暮らす』-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
             
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。                                
    
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