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リサコラム
連載621回
      本日のオードブル

2023年ある素敵な街に

第1話

「マロニエ通りの市長」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




マロニエ
大通りは
活気に満ち、
センスに満ち、
そして人々の
歌声に満ち、
さらに、

笑顔に
満ちています。
ホテル・ド・マロニエ
にぜひお泊りの際は、
市長のレジデンスも
ご覧いただけます。
マロニエの街を
24時間365日
見守る働き者の
市長なのですから。

 







        

第1話 「マロニエ通りの市長」





 さて、みなまさ、わが街マロニエのご紹介をさせていただきますのは、

私、市長のマロニでございます。


           


 まずは、この街の駅、マロニエの東口を降りて、まっすぐに伸びるこの大通り

をゆっくりと散策なさいませんか?マロニエの街路樹が2㎞に渡って続く通り

を『登山道』と呼ばれる方もおいでです。変な名前?そうなのです。平坦な道

なのになぜ登山道?とお思いでしょう。さらに、歩きだした途端、あれ、と感

じられることがあるでしょう。その理由はあとでご説明いたしますとして、こ

の大通り、マロニエ大通りと言います。おそらくこの名は世界中にごまんとあ

ることでしょう。しかし、わが街のこのマロニエ大通りはいずこにも引けを取

らないほどに美しく、すばらしい通りだと自負しております。


           


 自慢過剰でしょうか?いずれにせよ、巨木に育っておりますマロニエの樹齢

はおよそ60年から100年と言われています。


           


 そして街路樹の始まるあたりの小さな石柱にはこのマロニエの木を寄贈した

人々の名前が彫られています。マロニエの木は、市民からの寄付によるものな

のです。しかもそれは、現金による寄付ばかりではありません。実際に樹木を

ご提供くださった方もおいでなのです。今ならそんな募集はネットで行われる

かもしれませんが、当時はネットのない時代でしたから、街のあちこちに掲示

板を立てていたと言います。そして、今年は、その記念すべきマロニエ大通り

ができて、ちょうど50年の節目に当たる年なのです。


           


 今、通りは数多くのイヴェントの準備でどこも大忙しです。ことに北側の高

級ホテル、ブティック、カフェが軒を連ねる商業地域には、趣向を凝らした様

々なイヴェントの準備が着々と始まっています。北側の高級な通りでピンとき

ましたか?そうです、お察しの通り、その通りは、シャンゼリゼのようだと言

われます。まさに、当初はシャンゼリゼ大通りを目指して作られた大通りなの

ですから、当然です。本家の「シャンゼリゼ」とは、「エリゼ宮の畑」という

意味ですから、その世界的に有名な通りだって、その昔はここの昔とさほど変

わらなかったはずです。よって、わが市民も、その著名な通りを真似て、ちょ

っと鼻に抜けるような音で『シャン』と呼ぶ方もおいでですよ。


           


 春から初夏、そして秋はマロニエの木陰のカフェで、行き交う人々の様子を

眺めるのもよし、ストリートパフォーマーの演技にしばし見とれるもよし、

(いや、彼らは素晴らしいパフォーマーなのですから!)あるいは、中の島の

野外音楽堂でいつでも自然発生的に起こっているピアノ、バイオリン、打楽器、

様々な楽器どうしのセッションを、公園の芝生にゴロンと寝転がって楽しむ

もよし、セーヌの流れとは申しませんが、美しいせせらぎを枕に、ほんを読

むのも、最高に愉快です。


           


 実は、その私共の大事な任務のひとつが、人々それぞれが持つ才能を発揮で

きる場をこの街自体が与えることなのです。


 実は今から5年前の2018年までは、この街に限らず、人々はテクノロジー

に大いなる関心と信頼を寄せ、一方で不安を覚えながらも時代遅れにならない

ように盛んにテクノロジーを利用していたのです。人々はだんだんと手で文字

を書かなくなっていました。手紙の衰退と共に、言葉も乱れ、コミニケション

力も次第に衰えを見せていたのです。なんでもスマホが教えてくれますし、考

えることなく、スムーズに物事が進んでいく一方、対人関係におけるコミュニ

ケーション能力は加速度的に下降していました。便利な時代の負の遺産とも言

うべきでしょうか?


           


 そして、6年前、私がこの街の市長に推挙された時、気がつけば、ぱっとし

ない片田舎と言うしかない街になり、そして多くの若い人々が去って行った後

でした。そこから、一大改革が始まったのです。★さて、もしもこの街の魅力

をもっと深くお知りになられたければ、この街の中で一番高級なホテル、

オテル・ド・マロニエをおすすめいたします。とても美しい5つ星ホテルです。

もちろん、北側のマロニエ通り側をご指定なさることをおすすめいたします。

内装はすべての部屋で異なり、部屋ごとに違う有名、無名問わず、デザイナー

によってデザインされた珍しいホテルです。


           


 そしてこの星の制度は、ホテルだけでなく、飲食店、ブティック、美容室、

学校、様々な公的な機関も含まれます。そして、星の基準は住民による委員会

によって定められ、委員は年齢制限なしの抽選で選ばれ、任期は一年です。ユ

ニークなシステムでしょ?レストランの価値基準も、結局、あなたご自身が決

められるということになります。


           


 まず、この星システムにより、街には意欲があふれだし、さらにアイデアが

センスを昇華させました。そして、若い人も多く移住するようになったのです。


           


 譲れない美点、マロニエの木々が美しい木陰を作る街路樹の通りを持つ、

しかし、ぱっとしない街で始まった大改革に、市民は徐々に参加してくれるよ

うになりました。ストリートパフォーマーも現れ、イヴェントも増えました。

これも、公的な機関が決めたものではなく、住民によるものなのです。


           


 この記念すべき50周年のイヴェント、“フェスティバル・デ・マロニエ”に

あなたさまにもぜひ、ご参加いただきたいと思っております。通りは歩行者に

開放され、歌、踊り、楽器の演奏、即興劇、即興芸術にご参加いただけるチャ

ンスもあります。しかも、警備員も必要としない街、信じられますか?


           


 しかし、この街がこのように変わったのも、実に取るに足りないようなこと

から始まったのです。それは、ひとりのリュックを背負ったちょっと変わった

登山好きの若者が、この街にやって来たときからなのです。彼はマロニエ通り

をすぐに気に入りました。すべての店に入り、そして数少ない歩行者全員にこ

う話し掛けながら散策していたのです。「こんにちは、元気ですか?」と。


           


 若い人間も少なかった当時、道行く人々はみな暗い表情に見えたものです。

しかし、彼はちょっと変わった登山家でしたから、山で出会う人々がお互いに

「こんにちは、元気?」と普通に声をかけることを平地でもやっただけなので

す。以前はお店でも、美容室でも、スーパーでも、人々は「ごめんください、

こんにちは」と言いながらお店に入っていたものらしいのですが、今では、他

人同士がほとんど言葉を交わさなくなり、「ごめんください」は死語になって

行ったのです。しかし、数年後には街の表情が今のこのように、明るく変わっ

ていました。


           


 その変った若者と言うのは、登山が趣味の技術者が開発したロボットだった

のです。つまり、そのロボットが、この私、マロニエ市長の、マロニなのです。


 なんだ~人工知能?とがっかりすることはありません。2023年の今では

こんな市長さんもちらほら見受けられるようですから。人工知能も人間が生み

出したものですから、ロボットが街を人間味のあるものに変えてゆく時代こそ

が、私の一番の願いなのです。


           


 さて、そうこうするうちに、日没の時刻になってまいりました。つまり、一

番先に申し上げましたが、ちょっと変わっているというのは、すれ違う人々が

みな、『こんにちは、』とか『こんばんは』とか笑顔で挨拶をすることなので

す。最初はご面倒かもしれませんが、その内、呼吸と一緒になりますから。


 それでは、食事も眠りもしない私ですが、ちょっと失礼をして、エネルギー

チャージの時間なものですから。


           


 それでは、みなさま、マロニエ大通りの街へぜひお越しくださいませ。通称

はパリの本家のシャンゼリゼ大通りのそれと同じく、『シャン』ですよ。

「ン」は鼻に抜ける音でお願いいたしますね。


           


 それでは、“フェスティバル・デ・マロニエ”でお待ち申し上げております!

ボンソワール!




   



 上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1  
  
   24時間、365日神経を使う仕事こそ、
  人工知能を持ったロボットが適任では
  ありませんでしょうか?
  笑顔を気分次第で作る、作らないなんて、
  そのようにプログラムすればできるのでは
  ないでしょうか。

  フランス語で「サヴァ?」はとても短く簡単な「元気?」
  大好きな言葉です。日本語にもあればいいのにと思います。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、
           
            


  p.s.2
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    英語版を出版いたしました。
    "Bedroom, My Resort"の英語版がようやく出版されました。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTood Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。







シンプル&ラグジュアリーに暮らす』-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
             (木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
    お申込はこちら→「Contact Us」                                     

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