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リサコラム
本日のオードブル
第9回

 魔法使いになれなくても
  いいの。鉄腕アトムだから



木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンに1990年より勤務し、400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)がある。
趣味は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まること。
15年来のベジタリアン。ただしチーズとシャンパンは大好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。好きな作家は、夏目漱石、檀ふみ、中谷彰宏、F.サガン
    
      アトムがんばれ!私のかわりに。
                              リサコ

 


魔法使いになれなくてもいいの。鉄腕アトムだから



2003年4月7日。この日は、手塚ファンにとって、紀元0年12月25日

と同じ意味を持つくらい、神聖かつ、記念すべき日だったようです 。   


つまり、鉄腕アトムの誕生日なのです。何年も前からイベントが計画され、

ずいぶん前から、カウントダウンも行われていたほどだそうです。主題歌し

か知らない私がそれを知ったのは、その年の4月。手塚ファンの知人が、

わざわざその日を待って、結婚したからです。彼にとってそんな神聖な日

に結婚することがどんなにすばらしく、この上なくうれしいことなのか、想像

もつかなかった私は涼しげに言ってしまったのです。「私の誕生日も4月7

日よ。」電話口の彼の驚きと悔しさの入り混じった、こわばった声から彼の

心中を想像することもできなかった私が、やっと理解できたのは、ネット検

索をしてからです。きっと、どのぐらい悔しかったは、今でもその程度は分

からないかもしれません。でもそれを知った瞬間、その彼の心境を考える

より、私の中に、突如として芽生えた、鉄腕アトムという存在が自分と同

一化してしまい、分身になってしまったのです。それ以来時々、私は鉄腕

アトムに変身するようになりました。


そして、先週から昨日まで、私は何度か鉄腕アトムにバージョンアップし

ていました。仕事柄、重いものを動かすのは日常のこと。100万馬力も

要りませんが、いざとなったら、体中にパワーがみなぎり、集中力が増し、

どんどん体が動くようになります。



実は、今週の月曜、火曜と自宅にて、インテリア雑誌の撮影日でした。

私の場合は、美しい寝室の提案ですから、6つか、7つの寝室コーディネ

ートをしなくてはなりません。1つの寝室でたくさんのカーテン、ベッドリネン

クッション類、小物が必要です。季節に応じた寝室を作りかえるのに、ひ

とりでやっているときは、たいてい3時間くらいかかります。シェード、カーテ

ン、上飾り、ベッドスカートをすべて付け替え、ベッドメイクします。シーンに

合わせて、あらかじめ得意なスタッフに用意してもらったお花のアレンジ、

雰囲気作りの飲み物や小道具のセッティング等々。撮影のため、手伝い

のスタッフ1人を加え、私たちプロが2人がかりでやっても小一時間はか

かります。私の”シンプル&ラグジュアリーに暮らす“をお読みの方から、よ

く言われるのは、「1年がかりで撮ったのね。」「いえ、実は2日半です。」

1年がかりなら準備もそれほど必要ないでしょうが、それを2日で再現す

るとなると、スムーズに2日間で終了するように、準備万端整える必要が

あります。


私の部屋には、カーテンのクローゼットがありますが、そこにはアイロンをか

けられ、きちんと順番にセットして並べておかれる必要があります。ベッドリ

ネン、クッションカバー類にも同じく、入念にアイロンをかけ、シーンごとに

クローゼットに並べます。今回新たに作ったものも多く、撮影日に到着予

定のものもあり、工場のスタッフと電話で何度も仕様のすり合わせをしなが

ら、時間との戦いです。また、自宅の念入りな掃除から、カーテンの洗濯

大量のアイロンがけ、ためしがけ。休みの2日間で、ほとんどひとりでやる

しかないのです。                         


 一度、アトムに変身するともう止まりません。寝室のコーディネート、タオ

ルクローゼットの撮影なのに、キッチンのシンク下収納、天袋も、食器引き

出しなどすべて物を出して、ふきあげ、下着、ベッドリネン、パジャマクロー

ゼットも同様。アイロンがかかっていなかったものには、浴用タオルにまで

すべてアイロンをかけてしまいました。サッシの角の見えにくいところは、虫

眼鏡で見ながら、竹串しで掃除、物干しのベランダは雑巾がけ。気がつく

と、総メーター20mはあるベランダのアルミの手すりを11本磨いてい

ました。タテ、ヨコ入れると200本はあります。「そんなところを今、やらなく

てもいいじゃないの。」と、普通の木村は言いますが、アトムに変身した木

村はパワー全開で休むことを知りません。そして準備完了。        


2日で無事、撮影終了。カメラマンさん、編集者さんを飛行機の時間に

間に合うようにと、ばたばたタクシーで送り出した後は、今度はまた一人で

後片付けです。ベッドの上には、布団や枕やベッドリネン、カーテンがうず

たかく積み上げられ、窓からは、上飾りが半分ぶら下がっています。どこ

もかしこも散らかり放題。台風が家の中に吹き込んできたような、撮影の

後は常にカオスです。どんなに部屋を美しく磨きあげても、最後はいつも

今、引越ししてきて、荷解きの最中のような状況になります。      


私はまた一人でカオスという怪獣に対決するために、2日前の平和な状

況に戻すべく、アトムにまた変身します。2時間で掃除、洗濯、片付けに

取り掛かります。さすがにアトムも燃料切れのため、少し動きが鈍くなって

きました。仕事が終わったスタッフを家に呼んで、一緒にカオス対決。や

っと午後9時前には、ほぼもとの通りに戻り、店長の提案でなぜか記念撮

影。その晩は、キャンドルを灯した、ちょっとタヒチアンリゾート風のクローゼ

ットルームで、カフェオレをすすりながら、ブレイクタイムです。       


でも、まだ私には仕事が残っています。2日間で撮影に使ったベッドリネ

ン、カーテン等を洗濯して、アイロンがけ。私は1つのベッドでピロケースな

どを6,7枚使います。2日間かけて準備したものをまた同じように元に戻

すのです。洗って半乾きのピロケースは6,7枚を丁寧に重ね、上から一

気にアイロンがけ。11枚はがしながら、またアイロンを当てると、15分

7枚はアイロンがかけられます。仕事から帰った後は、そうしてアイロン

がけの2日間を過ごし、ようやくこうして書けるようになりました。 


実は、私と長くお付き合いいただいている顧客の方でも、私のインテリア

本を読んだ後、「木村さんの部屋はどのページにのっているの?」と聞か

れることもよくあります。「全部です」というと、あまり信じてもらえません。


それはきっと、“おっとりした人”と見られているからだと思います。実際、

あまり手際もよいわけでも、動作も素早いわけでもありません。

だからよく、「どうしてこんなに部屋をきれいに維持できるの?」と聞かれる

ことよくあります。
だから、今日その疑問が解けましたでしょ。実は時々、

アトムに変身していたからなのです。


あなたも同じ誕生日のヒーローに変身して、バージョンアップすれば、どん

な大変な状況も怖いものなしです。
                              




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また、来週の金曜日にお会いしましょう。
                      

木村里紗子 Risaco
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