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リサコラム
本日のオードブル
第23回

 習慣の奴隷になりたい


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンに1990年より勤務し、400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)がある。
趣味は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まること。
15年来のベジタリアン。ただしチーズとシャンパンは大好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。
好きな作家は、夏目漱石、檀ふみ、中谷彰宏、F.サガン



 「今度は、何の奴隷になろうかな?」
  
            「前の習慣の奴隷じゃなくて」
                

 

       



習慣の奴隷になりたい




 「すごい労働!」「え、すごい労働?」「コラムも書いて..やっぱりここに居る

のね」「もちろん、居ります」インナーのコーナーで、ショーツをたたみ直してい

たら、こう声をかけられました。その方は、もう16年はお付き合いをさせていた

だいている国立の大学の先生。「ここに来ると、癒されるのよ。私の癒しの場所

よぉ」「普段着で来れるこんなお店が家の近くにあるなんて、うそみたいよね」

と疲れている時に必ずお寄りくださいます。普段の顔とまったく違う、リラックス

した自分になれるのがうれしいようなのです。たまたま、私が出かけているとき

などにお見えになられた方に久しぶりにお会いすると、「もう、やめたかと思った

わ。何度来ても、居ないから」「いえ、いえ、ちゃんと居りますよ」「あなた、何度

か辞めたでしょう?」「いえ、そんなことは..何度も、いえ、1度も辞めてはおり

ません」。週に1回は必ず来られる方も多く、ほとんど習慣化している方もいら

っしゃいます。だから、こんな会話が常に毎日、繰り返されるのです。疲れた

時は「マダム・ワトソンに行き、近くのフレンチでランチをして、ジムに行く」そん

なルートも存在するようです。こうして私は、毎日、たくさんのお話を聞き、その

方はちょっと癒されて、そして、私は自宅の寝室で癒される。これをずっと繰り

返しているようなものです。                              


 また、こんな習慣を絵に描いたような方もいらっしゃいます。必ず手土産持

参で、着物を着てタクシーでお見えになる方は、もう80歳を越えられた、体重

30キロ代の美しい女性の方。大きな家で、一人暮らしをする彼女はもう15年

も同じパターンです。いつも、夏は、麻や絽(ろ)の着物に紗(しゃ)の帯、雨が

降りそうな日は雨ゴートを来て、寒い日は大島つむぎにモヘヤのストール、ビー

ズのバッグ。なのに、「“Gackt”のファンなのよ」といわれて、「学徒動員のこと

でしょうか?」なんて、私は失礼なことを言ってしまいました。毎年、クリスマス

や誕生日に、ご自分の娘に、娘のダンナさまに、孫に、ひ孫にプレゼントを贈り

にやってこられます。だから毎月のように、贈り物をし続けなくてはならないの

に、みんなの誕生日はしっかり覚えておられて確実に贈られます。もちろん、き

ちんとお化粧をし、マニキュアも塗り、その日の着物に合わせたトワレをつけて、

バッグ、ぞうり、杖まで色を合わせてこられます。だから私は必ず2、3時間は

お相手をします。入退院を繰り返されても、また、誕生日、クリスマス、バレンタ

インディーには同じように贈り物を買いに来られます。入院先のリハビリ施設で

も、もちろん、“着物を着て歩行練習”です。「着物を着てリハビリをする不思

議な貴婦人」として有名になったそうです。まあ、日本全国探してもなかなか

そんな姿は見られないでしょう。それほどだから、もちろん自宅でも着物です。

洋服はお持ちではないそうです。どんなに具合が悪くても、自宅では寝込まず

着物をちゃんと着て、横になるそうです。「ほんとうにお見事です。敬服いたし

ます」。としか言いようがないのです。“凛とした”という形容は、彼女のためにあ

ると私は思っています。いつでもきちんと着物を着るという習慣をずっと守り続

け、まるで漱石の小説に登場するような方なのです。夏でもアイスティーしか

飲まれないので、指定のアイスティーはなくなる前に必ず送ります。指定のアロ

マオイル、オードトワレ、入院先にまでそのオードトワレを届けたこともあります。

だから、1ヶ月音沙汰がないと心配で何かがあったに違いない。と思わざるを

得ません。お歳暮、お中元の季節には、決まって福砂屋のカステラが贈られ

てきます。だから、お返しに母の日、ホワイトディ、クリスマスには店長が、夏に

は麻のジャケットを着て、冬にはベルベットのジャケットを着て、花束や、アレン

ジを持ってゆくことにしています。                           


 彼女を見ていると、彼女がたどってきた80年の折り目正しい生活を思い描

いてしまいます。そして、いつも開いてしまうファイルがあるのです。私の自宅を

改装し続けた記録が納まっている、1冊のファイルです。その表紙は透明なの

で、1ページ目が透けて見えます。私はそこにあえて、雑誌で見つけたコラム

のコピーをファイルしています。夏山直道さんという方が書かれた文章です。

心裡カウンセラーで、㈱ロフティの社長、肩書きはたくさんありました。福岡市

在住らしいのです。彼のコラムの言葉を以下に引用します。           


 「世界には成功哲学という学問が多く存在しますが、数多くの成功者に大き

な影響を及ぼした先達に、オグマンディーノという方がいます。」そしてそのオ

グマンディーノの残した格言を引用されています。「成功者と失敗者の間には

深くて大きな溝が横たわっている。その溝の名を
習慣“いう」なかなか味わ

い深い格言ですよね?」それからオグマンディーノは、『人間は習慣の奴隷

ある。習慣という呪縛からは逃れられない絶対的な奴隷である。ならばこそ、

よい習慣を自ら設定し、私はその奴隷となろうとうと』。夏山さんが目からうろこ

が落ちる感動を覚えたのと同じく、私もすぐにコピーして、自分のロッカーの扉の

裏に貼りました。でも思いついて、それを改装記録ファイルの表紙にして、いつ

でもきれいな状態で見られるようにしました。私たちは、ちょっとした忘れ物をし

たとか、食器を割ってしまったとか、注文を間違えたとか、毎日ちょっとづつ小

さな失敗を重ねているように思います。それだって、きっとよい習慣により、小

さな忘れ物も、小さな失敗も防げるはずです。大きな成功者にならずとも、小

さな失敗を重ね続けて、小さな失敗者にならないために、私はこれを人生の

格言としました。どの雑誌に載っていたかも、もう、忘れてしまいましたが、6年

くらい前に出会った文章です。その時決めた習慣の奴隷に実はまだ、私はなり

きれていませんから、全く偉そうなことはいえないのですが。”毎日帰ってきた

ら靴を磨く。1日2人以上の方に手書きの礼状を出す“これが私の習慣リストで

す。こう言ったら、「私も、習慣の奴隷になろうと思ったけど、元の習慣の奴隷

なっています。」と水をさすのは、リサコラムの
”ラ・フランスな気分”以来、人

気上昇中の店長の格言です。                            


 でも、最近、私は新たな習慣の奴隷となっています。6分間のふきんタイム

にも、窓ガラスに麻ナプキンをべたべた貼り付けている間も、パジャマにアイロ

ンかけている間も、頭の中では、ctrl+x,ctrl+vを繰り返しながら文章を書

いているからです。まさにリサコラムという、習慣の奴隷です。昨年の9月から

書き始めたこのコラムは、文章を書き始めて、イラストを描いて、リンクをしてU

Pするまで、6時間以上かかります。その一連の作業を毎週一人でやってい

ます。でも、“リサコラム、おもしろいから、全部読みた~い”、“毎週金曜日が

楽しみ~”と言われる限り、喜んでこの奴隷になりたいと思っている私です。
  


 そして下の写真は、一番最初にコラムを書いて欲しいと言ってくださった札幌


の方から送られてきたものです。  「札幌雪祭りで、

突然現れる、アイスキャンドルです!」と、     

暖かい福岡に届けられた、氷の中で光る幻想的なあかりです。        

 彼女からは「リサコラムは全部プリントアウトしています。電車の中でその日の

気分に合わせて読んでいるんです」と私にとってはとてもうれしい、メッセージ

を戴きました。こんなコラムでも、お役に立てているのならと、この習慣を与えら

れたことに、私はこころから感謝する日々なのです。               


          

 ではまた来週の金曜日に。

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 お名前と、お差し支えなければ、ご住所も書き添えてくださいね。必ずご返事いたします。


                     

木村里紗子 Risaco

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