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リサコラム
連載150回
本日のオードブル
リゾコの
ミステリアス紳士録
1.

王子様はおいくつ?

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンに勤務し、400名以上の顧客を持つカリスマ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)がある。
道楽は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まること。
17年来のベジタリアン。ただしチーズとシャンパンは大好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。
好きな作家は、夏目漱石、中谷彰宏、F・サガン、マルセル・プルースト
      
 
    「あっ、パパラッチだ!」「そっちこそ!」
          「アタシタチ、王子様のおふぃしゃるよ!」
 
      
  


ゾコのミステリアス紳士録

王子様はおいくつ?





 生命保険の更新ほど憂鬱なものはない、と私は数年ごとの更新の際に思うよ

うになった。窓口の女性は、数多い相談をできるだけ手早くさばくためか、流暢

な”日本語”で早口に解説を加えるが、半分は意味不明である。その早口のし

ゃべり方を聞いていると、あれもこれも、どれも必要なようで、不要なようで、ほと

ほと、弱り果てる。『ちょっと、混乱してきました。適当にお勧めでお願いします』と

言うと、『そういうわけにはいきません』とメガネのキャリア風の彼女は言う。こんな

無味乾燥な場所で、しかも紙コップの味気ないお茶を飲みながら、自分の最終

の日に思いを寄せ、人生とは一体何か?の問いを突き付けられるこの現状を誰

が喜ぼう!さらに追い打ちをかけるように、窓口の彼女は、『毎月の保険料を下

げるのでしたら、死亡保険金の額を下げましょうか?』とくる。返事に迷っていると

『葬式代が約300万だから、特にあなたが一家の大黒柱でない限り、そのくらい

あればいいんです。葬式代だけでいいという方も結構多いんですよ』とのたまう。

それも、もちろん真なり。



            



 しかし、自分の生きていた証の最後を飾るその儀式を考えるに当たり、せめて

もの希望は、座り心地のよい安楽椅子とかたわらに、シャンパンとチーズくらいは

欲しいものである。今まで、仮にも懸命に働き、それなりに色々と思い悩み考え

ながら、これまで生きながらえてこられた身、居心地はいいとは言えないこんな

事務用イスの上で、最終決断をせまられることになるとは悲しいものである。いっ

たい、自分は何を頼りにこの先生きて行けばよいのかと、スイカが食べたくなる夏

の空を見上げるも、深々とした夜の闇を背に崖っぷちに追い込まれた心境にな

る。だから、誕生日には、絶対保険の更新に行ってはいけない。また、悲しい目

に会った直後も行ってはいけない。明るい日差しの入る部屋をあらかじめ用意し

て、落胆した気分を持ち上げる準備をしてからでないと保険の更新に行かない

ほうがよいと私はお勧めする。

 さて、近頃こんな目に遭った方も、これから遭う方も、あなたの人生のパートナ

ーリゾコとともに、人生を愉快に紐解いて行こうではないか。



 「ようこそ、わたくし、リゾコのラウンジへ。そう、人生がつまらなく思えてきたあな

た、どうか、今日は少しだけ、わたしのラウンジでその羽を休めてゆきませんか?

さあ、こちらへ来て、どうぞ、おかけ遊ばせ!今日は、あなたのために特別に明る

いお席をご用意いたしました。さあ、わたしがお茶を注いで差しあげましょう!



      



 あなたも、保険の更新の際にご自分の価値を考えることがきっとあることでしょ

う。そして、人生の楽しみや、信じれるものはいったい何で、いったいだれか?に

思いを寄せるかもしれませんね。でもそんなとき、わたしは、わたしの周りにいる

たくさんのすばらしい女性たちのことを思い浮かべます。仕事でも、半プライベー

トでも接する女性たちは、みな、すぐれて目を引く個性があり、魅惑的で、自分

のポリシーに忠実です。また自らの生き方を反省し、自己改革の意欲にあふれ

ている方がほんとうにたくさんいます。なのにそんな男性たちのいかに少ないこと

か!とつくづく感じる日々です。きっとどこかにはたくさんいるはずでしょうけれど、

表立って、そんなそぶりを見せないだけかもしれませんが。



      



 女性の、あるいは男性のあなた、『あなたはどんな男性が好きですか?』こん

な質問をされたとしたら、あなたはどう答えますか?実は、私は、好きな男性と

聞かれたら、『探偵です。シャーロック・ホームズに、ピンクパンサーのクルーゾー

警部、エイドリアン・モンク...』と答えてしまうのです。『そうじゃなくてぇ、ほら、

俳優さんとか歌手とか...』と相手は聞き返します。『歌手と言われても、わたし、

流行りに疎くて、ほんとに知らないんです』すると、相手は、どんどん、男性俳優

やアイドル歌手の名前を挙げますが、残念なことに、韓流スターの覚えにくい名

前と同じくらい聞き覚えがないのです。すると諦めて、『じゃ、たとえば、どんな歌

手を知っていてるの?』私は悩んだ挙句『キムタク、う~ん、北島三郎、五木ひ

ろし...ですか?』と答えると、『えっ、それだけ?あなたって世界遺産レベルね!』

と後は、笑いの渦とともにその場は、予期せぬジョークが大当たりしたように盛り

上がります。『きっと、小さい頃の記憶のままでとどまっているのね』と相手は納

得するのです。



             



 わたしには、友人でもあり仕事上のパートナーでもある、Y子という女性がいま

す。彼女には、ある好きな男性がいます。もちろん、ブライアンさんという素敵な

髭のダンナさまは別にしてのことですが。その人の名を水谷豊さんと言います。

年齢は57歳。彼女は、仕事で徹夜しようとも、彼のコンサートには絶対駆けつけ

るほどの熱烈なファンです。わたしは、その水谷豊さんのことは、ほとんど知らな

いといってもいいでしょう。ガードマンや、教師の役をしたり、探偵ドラマに出ている

ことは知ってはいましたが、そのパーソナリティは、ほとんどわかりませんでした。

特に若く、今流行りのスターというわけでもないので、ある日、Y子にどうして、水

谷豊さんが好きなのかを聞いてみました。




       



 彼女は、『まず、演技の才能よね。彼が演技すると、登場人物っていうんじゃ

なくて、本物の人間がそこで実際にやっているみたいに思えるのよね。なんか、

こう、魂を揺さぶられるっていいうか、ほんと、感動するんだわ~』『でもそれだけ

じゃないと思う。私が小学生の時から、ずっとインタビュー番組とか、たま~に出

る、歌番組でしゃべってるのを聞いてるとね、この人、絶対いい人って、思えるの

よねぇ。まじめって、いうか、誠実っていうかさぁ~、この人なら信頼できそうかな

いや、絶対信用できる!って、そう、思っちゃうんだよねぇ~』



        



 彼女が真剣になると、深海の中から湧き出る水のように、目はうるうると、静か

ながらも、際限のない熱弁が続きます。”ほぉ~テレビの映像だけで、そこまで信

頼させることができる政治家はいるかな~”と私は思いました。『だってさぁ、57

歳よ。ねえ、思わなぁい~、57歳で、めちゃめちゃ、おちゃめでさ、あんな可愛い

人、いないよぉ~!そうそう、コンサート会場はさ、20代から、60代まですんご

い、年齢層、幅広いんだもん!それって、やっぱ、すごいことだと思うよ!』



        



 Y子は豊さまのことになると、コンサート会場の熱気と興奮をそのまんま持ち込

んだようなしゃべりになります。『それがさ、年齢を重ねてくると、また、彼の人間

的なすばらしさがどんどん表に出てくるような気がすんだよね。リゾコにはわかん

ないかもしれないから、別に豊さまのCDをこの部屋で聴いてなんては、言わな

いけどね。でも、いいんだわ、それが今、みんなに受けてるんだろうなって、わた

しは、思うよ』



       



 『いやいや、そんな素敵な男性なら、その歌声も聴いてみたいな~』とわたしは

言いました。そう、あなたの王子さまも、きっと年齢は関係ないはずでしょう。私

の王子さまだって、小学2年生から知り合って、かれこれうん十年。全然老けま

せんしね。



       



 おん歳、75歳は行っているでしょうか?彼のことを解き明かそうと、おびただし

い研究書があってさえ、まだまだ出るほどですから。1時間もあれば簡単に読め

るくらいの彼の物語なのに、いまだ、彼のパーソナリティは光輝いている証拠です

よね。そう、きら星のごとくに。



      



 さて、あなたの王子様は、どんな姿・形をしているのでしょうか?もしよかったら

教えていただけませんか?そしたら、私の寂しい紳士録もひとり増えるということ

ですから。

p.s.

 そうそう、『星の王子さま』の作者のサンテグ・ジュペリは、それを書いた翌年の

1944年、偵察機で地中海上空を飛行したまま、いまだ帰らずとなってしまいま

した。その日が、偶然にも、7月31日なんです。

 そして、わたしの星の王子様との出会いは、写真から。




          



 それではまた、来週金曜日、リゾコのミステリアス紳士録で、あなたを悦楽の

世界にお連れいたしましょう」


 



                                       Risaco




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