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リサコラム
連載152回
本日のオードブル
リゾコの
ミステリアス紳士録
3.

土曜日のライダー

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンに勤務し、400名以上の顧客を持つカリスマ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)がある。
道楽は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まること。
17年来のベジタリアン。ただしチーズとシャンパンは大好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。
好きな作家は、夏目漱石、中谷彰宏、F・サガン、マルセル・プルースト
      
 
  「インテリアショップ勤務、趣味はモータースポーツ、
 とりわけ、バイク。シャツはピンホールの白のみ。
 ボクにとってインテリアとは?う~ん、”背景”みたいな
 もんかな?フツー過ぎて、それ以上ない.よ」
 
      
  


リゾコのミステリアス紳士録

土曜日のライダー





 自転車のロードレース、今年の”ツール・ド・フランス”は、2005年に一度は引

退したツールの王者、ランス・アームストロングが復活した。私は夏の夜、仕事

から帰ると、一段落してそのツール・ド・フランスを見るために、テレビをつける。

 1999年より7連覇を果たした彼は、ガンを克服し、奇跡と称される復活を遂

げての歴史的快挙を残した偉大なロードレーサーである。



       



 ツール・ド・フランスとは、3週間休むことなく、フランス全土を自転車で縦断す

る、走行距離3300kmの超過酷なレースである。高低差2000mを自転車で

登り、下る。アルプスの山岳地帯の希薄な空気の中、よだれを垂らしたまま必

死で走り抜く、彼らの鉄のような体力と精神状態は、一体どこから生まれている

のだろうか。エアコンの効いた室内で、彼らの命がけの人力走行を見るのは、や

はり、ちょっと気が引ける。こんなたるんだからだで、ソファにどっかと腰を下ろし

て、ビールなんぞを飲みながら、体脂肪5%以下の彼らのレースを見る自分に、

ちょっと嫌悪感も感じながら。しかし気がつけば、ビールの泡と共に嫌悪感もどこ

かに置き忘れ、やはり、また毎年同じ状況でテレビ中継を見ている自分がいる。

しかし、何年見続けても、体脂肪の限界まで削り落し、まるで修行僧のような彼

らの精神世界は、想像することすらできない。



         


 先日も、テレビで、『少林寺三十六房』というカンフー映画を見た。少林寺の修

行僧と自転車乗りの彼らに共通なものは、肉体的な強さ、精神的な強さを超越

した、人間とは思えない神々しさである。技を習得し、速さを身につけるため、

拷問のような同じ訓練を繰り返し、繰り返す。すべての一流と言われるスポーツ

選手に共通な”練習”という名の”修行”により、体は高度に発達するのであろ

う。それはどんな機械にもできない、人間だけができる技に違いない。こんな強

い男たちを見ていると、自分には決してできそうにないと諦める一方で、もしも、

次に生まれ変わるなら、ロードレーサーか、修行僧か、宇宙飛行士になりたいと

思わないでもない。今より、体脂肪の少ない、強い男に。



      



 さて、あなたは、次に生まれ変わるなら、どんな女、どんな男に生まれ変わり

たいと思うだろうか?今宵もリゾコと一緒に、そんな理想の自分の姿について、

思いを巡らせてみても、面白いかもしれない。



          



 こんばんは、あなたとともに、理想の生活、理想の自分を創造したい、リゾコで

ございます。『あなたは、今度生まれ変わるとしたら、男がいいいですか?それと

も女がいいですか?』こんな質問をよく投げかけられる時があります。その答えを

考えるとき、男、女の得な点を比較して、どちらがお得かと損得で考えて答えを

出すやり方とは別に、今の自分ではない自分になれるなら、どんな自分になり

たいかと考えて答えを導くやり方もあります。子供の頃は、何になりたいか?こう

聞かれて、男の子はたいてい野球選手、女の子はケーキ屋さんと答えたころの

自分とは、違う自分になっているなら、改めて今、考えてみると、なりたいと思う

自分のそのイメージは、”男ならこんな男が好き”、”女ならこんな女が好き”と同

じであることが分かります。



      



 つまり、自分がなりたいイメージの人が好きということでしょう。その思考パターン

は、好きなものを好きな人にあげたくなるのと似ています。好きな人に、嫌いなも

のをあげたいと思うことは絶対にないでしょう。しかし、その好きな人のあるいは

嫌いと思っていた人の真の姿は外見では判断できないと、よくも悪くも裏切られ

た思いを感じた経験もあなたにもあることでしょう。わたくし、リゾコにももちろんあ

ります。それは、かなり前の映画ですが、ミッキー・ローク主演の『ナイン・ハーフ』

でした。

 ストーリーも結末も、もうあまり憶えていないのに、強烈なイメージで瞼の奥に焼

き付いているシーンがあるのです。それは、主役ミッキー・ロークのクローゼットな

のです。彼の職業は不明なまま、ドラマはどんどん進行します。しかし、女が見

た彼の行動は、マフィアと前衛芸術家、さらに無政府主義者と浮浪者をミックス

したような、デカダンでかなり危険な匂いをまき散らしていました。



          



 ある日、電話で呼び出されて主人公の男が外出する時、男の家に同棲する女

に、自分のクローゼットは絶対に開けるな!と言い渡して、出かけます。そう言わ

れれば、反対にどうしても開けて中を見たい衝動に駆られます。とうとう、その気

持ちを抑えられずに、女は、麻薬か、凶器か、あるいは死体でも入っているのか

も知れないと、恐る恐るクローゼットの扉を開けます。



            



 しかし、そこには、美しく並んだ高級なテーラーメイドのスーツが、もちろんプレ

スの効いた白いシャツ、美しい波を作るネクタイが整然と、静かに並んでいたの

です。紳士服専門店以外で、これほど美しい男性のクローゼットを見たのは、

もちろん、今までの人生で、後にも先には、わかりませんが、この1回です。彼は

実は、やり手の有能なビジネスマンだったというシナリオです。



        



 そのクローゼットを見る者に、説明はいらないほどの説得力のある映像で、まん

まと女もわたしも裏切られてしまいました。その人を語るに、クローゼットを見れば

よいのか、と目からうろこが落ちた瞬間でした。彼がどんなビジネスをやっている

のかは全く語られませんが、その整然と並んだクローゼットから、彼の仕事にかけ

るものの大きさ、きっと成功を納めているに違いないと誰もが、納得するクローゼ

ットの威力に打ちのめされました。



        



 男の外見、振る舞いから、大きく裏切られる結果となった事実が、さらに、その

印象を強烈なものにしてしまったのでしょう。真っ暗なトンネルを不安な気持ちで

長時間車で揺られた後、トンネルから出た瞬間に見た、海と空がくっついたよう

な青の世界に遭遇した時のような感動といえばいいでしょうか。



      



 ミッキー・ロークその人のクローゼットではないのに、それ以来、整然と並ぶクロ

ーゼットへの憧憬は、端正に整ったクローゼットに対するイメージを総称して、わ

たしは、『ミッキーのクローゼット』とひそかに呼ぶようになったのです。



     



 土曜日の夜になると決まって大きな音をたててバイクにまたがり、暴走族寸

前のライダーになるいい年をした人々がいます。迷惑行為は認められるものでは

ないけれど、もしかしたら、彼らのクローゼットは、整然と整理されていて、衣類も

きちんと並んでいるのかもと思うことがあります。なぜなら、仕事に支障のないよう

に、週末の夜を選んでいるからです。週末の一日、ソファにごろり、寝ころんだら

もう決して動かないような、トド生活を営んでいるより、はるかにメリハリのある行

動のように思うからです。あるいは、コンサート会場でギターを壊すミュージシャン

がいます。しかし彼らも、決められたスケジュールで練習を重ね、その決められ

た会場に時間厳守でやってきて、ギターを壊しているのなら、きっと彼らのクロ

ーゼットも美しいに違いないと想像するところではあるのです。



         



 そう、おわかりですね、次にわたくし、リゾコが生まれ変わるなら、今度は絶対

に男です。それもモテモテの男になれる自信があります。なぜなら、毎日たくさん

の女性と話をして、そのたくさんの女性の個性的な美しいお部屋、美しいクロー

ゼットを作るのが、わたくし、リゾコの仕事ですから。だから、女性が何が好きで、

何が嫌で、どうして欲しいか、また、それを応用すると、どんな男性のどんな行

動が好きか、嫌いかをよく知っているからです。



         



 男の清潔なベッドルーム、端正な麗しいクローゼットを彼女たちに見せれば、絶

対にイチコロなんですから。そんなノウハウをそのまま活かせば、次に男に生ま

れ変わったリゾコがモテモテにならない訳、ないじゃありませんか!



        



p.s.

 本日は、ラ・フランス店長とKのご自慢のネクタイやカフスボタンたちをお借りい

たしました。二人のご自慢のそれぞれのクローゼットも、いつか公開できることでし

ょう。


 それではまた、来週金曜日、リゾコのミステリアス紳士録で、あなたを悦楽の

世界にお連れいたしましょう」


                                       Risaco




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