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リサコラム
連載151回
本日のオードブル
リゾコの
ミステリアス紳士録
2.


王子はタオルハンカチが
お好き

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンに勤務し、400名以上の顧客を持つカリスマ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)がある。
道楽は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まること。
17年来のベジタリアン。ただしチーズとシャンパンは大好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。
好きな作家は、夏目漱石、中谷彰宏、F・サガン、マルセル・プルースト
      
 
  「リゾコ、もう、浮かれちゃってるよ....」
 
      
  


"リゾコのミステリアス紳士録

王子はタオルハンカチがお好き





 これでもかというほど、長い梅雨が明けれたと思えば、いきなり猛暑がやってき

た。ひたいの汗を手のひらでぬぐいながら、リゾートで見たのと同じまばゆい空を

見上げると、私は3年前の彼を思い出していた。



         



 そう、彼、通称”ハンカチ王子”の斎藤佑樹くん。”優雅さ””気品”という、それ

までまるっきり縁遠い世界の言葉を球場に持ち込んで来てくれた彼の青いハン

カチ。そしてそれで汗をぬぐう、彼のしぐさ。ああ、そうか、球児も汗は、ハンカチ

でぬぐえばよかったんだと、今さらながら納得した2006年甲子園の夏。球場か

ら1歩出ると、ありふれたものなのだが、流行語大賞にまで輝いた、”ハンカチ王

子”のハンカチは、たかだか500円程のものが、ネット市場で1万円くらいの値段

がついたとか、製造販売していたハンカチメーカーの株価が急上昇したというか

ら驚きである。”ハンカチ王子”の経済波及効果はいったいどれほどのものだっ

たのだろうかと想像してしまう。高校野球、甲子園、巨人の星、忍耐、持久力、

根性、泥とミックスされた汗、白熱した応援団、そんな中に、20cm四方の小さ

な気品がもたらしたものは、ほんとうに大きかった。しかし、ハンカチの絶大な効

果は、それだけで発揮されたわけではなかった。



      


 優秀なピッチャーによく使われる表現、”端々と””にこやかな涼しい笑顔”ピン

チでもチャンスでも変わらない”ポーカーフェィス”。そんな王子にふさわしいベ

ーシックな素養が彼には備わっていたからこそという点も見逃せない。喜怒哀楽

を率直に表現するのは簡単である。赤ん坊のようにふるまえばよいことであるか

ら。しかし、”王子””王女”を仮にも目指そうと思うなら、喜怒哀楽を調整するた

めの3種のハンカチが必要であろう。ときにはナプキンの役目も果たす、汎用性

高い大判のハンカチ、そっと涙のしずくを抑えるようなそぶりを見せるために使う

レースのハンカチ。そして、”ハンカチ王子”ご愛用の汗をぬぐうタオルハンカチ。




           



 さて、この夏、あなたの王子さまはどんな優雅な所作で汗をぬぐうのだろうか?

8月8日の甲子園を前に、リゾート好きのリゾコとともに、”ハンカチ王子”に思い

を寄せようではないか。



        



 こんにちは、今日も、リゾートの夏が、そして常夏の島が大好きなリゾコでござい

ます。”端々と””にこやかな涼しい笑顔””ピンチでもチャンスでも変わらない”ポ

ーカーフェィス”。ハイソサエティには、かかせない3種の神器ですね。殺伐と、

混沌とした日常から抜け出して、そんなリゾートに行くときは、もちろんバッグにそ

の3種の神器を入れて行くことが肝要ですね。あなたの好きな王子は、どんなご

愛用のもので、どんなしぐさをする方でしょうか?



      


 わたくし、リゾコにも尊敬するハンカチ王子は、もちろんおります。わたしはその

彼のことを”さんちゃん”と呼んでおります。もちろん彼、ピート・サンプラス(Pete 

Sampras)はそう呼ばれていることをご存じないでしょう。つい最近まで、だれも到

達しえなかった、テニスの4大大会(全豪、全仏、全英、全米)で14回の優勝と

いう、すばらしい偉業を成し遂げていた王子だったのです。そう、さんちゃん引退

の後は、スイスの新星、ロジャー・フェデラーに、ついこのあいだ、ようやく追い越

される前までは。テニス好きの方なら、よくご存じの通り、テニスの4大大会の中

で、芝生の上で行われ、歴史と格式、伝統を誇るウインブルドンで7回の優勝と

いうさんちゃんの最多記録は健在です。近い将来、ロジャーによって破られ、

”芝の王者”の座は明け渡すかも知れませんが、しかし、センターコートの”芝の

王子”の座はきっと譲ることはないでしょう。なぜかと言えば、”端々と””にこやか

な涼しい笑顔””ピンチでもチャンスでも変わらない、”ポーカーフェィス”これに

加えて、もちろん、さんちゃんも”ハンカチ王子”だったからです。ちょと大きなハ

ンカチでしたけど。



       



 ウインブルドンの規則”白いユニフォーム”は、イエローのボールとともに、その芝

の緑に鮮烈な映像を見せてくれます。白いユニフォームが美しく映えるこれほど

のシチュエーションはないでしょう。昔から変わることなく流されてきた洗濯洗剤

のコマーシャルのようなものです。まるでゴルフ場で撮影したかのような見事な、

芝生の広々とした庭先で、白い洗濯物は青空にゆらゆら揺れる様子、ふんわり

弾力のある、ふかふかのタオルの山。誰もが、これは欺瞞だと分かってはいても

潜在意識に、その”ホワイト~”の映像が洗剤のネーミングとともに焼き付けられ

て、スーパーに並ぶ洗剤の袋の列に、その大きく書かれた文字の列に、白く輝く

タオルの幻影を見るのです。”幻影”これは想像力の賜物ですね。私はそんな

”幻影”をさんちゃんの大判のタオルハンカチに見たのです。



      



 その幻影は、みるみる膨らみました。ウインブルドンでプレーする選手には、束

の間の休憩時間にあらかじめ用意されているロゴ入りのタオルがあります。モスグ

リーンの大判のタオルは、映像で見ても、ちょっと吸収性に欠けるような、そして

モスグリーンという色が、清潔感に少々欠けるような印象を与えるのは、止むを

えません。しかし、さんちゃんのマイ・タオルは違いました。”さんちゃんのタオル”

と、わたしはずっとそう呼んでいますが、そのさんちゃんのタオルは、まっ白で、

毛足が長く、しかもたいそう大きかったのです。身長185cmの彼の頭も体もすっ

ぽり包み込まれるようなそんな大きなタオルをさんちゃんは毎回持参していたの

です。もしも、ちいさなアリがその中に紛れ込んだら、「何だ!この白い林は!」と

どこまでも続くその林の中で、途方に暮れるかもしれない程です。



    



 そのさんちゃんのまっ白いふかぶかとしたタオルを最初に見たとき、わたしは、

まるで、大きな稲妻がぴか~と頭の中を通り過ぎたように、幻影を見ました。”洗

剤”の”潜在”意識効果です!優勝まで、3、4週間程を過ごすそのウインブルド

ンで、毎回新鮮なタオルを使うには、一体何枚持参しているのだろうか?そして

それが保管されている、さんちゃんの自宅のタオルクロークには、いったい何枚

の白いタオルが行儀よく並んでいるのだろうか?と私の幻影は、センターコートの

さんちゃんを見るたびに、拡張し続けて行きました。



         


 だから、さんちゃんのタオルに出会ったときは、わたしはさんちゃんのタオルを、

さんちゃんの自宅の何分の一かでも並べるために、クロークを満たししたのです。

それがさんちゃんとわたしとタオルクロークの大げさですが、ロマンスの全容なの

です。



           



 『親愛なる、タオル王子へ。今、わたしは、空との境目をなくした海を横目で眺

めながら、この招待状を書いています。



      



  さんちゃん、さんちゃんもこの白いタオルの棚の前で、タオルの静かな波を

ぼ~と眺めながら、スランプの時も、苦しい練習の後も、きっと感動したのですよ

ね。そして、ずっと眺めているうちに、その白い林の前で静かな”癒し”を知った

んですよね。それがあるから、精神的な安定を得られることも、ポーカーフェイス

でいられる経験もしたはずですよね。そんなことをたくさん、たくさん、気付かせく

れたさんちゃん、だから、わたしは、さんちゃんにちょっとお礼をしたくて、沖縄に

こんな別荘を作ってみました。どうです?まだもちろん、どんな変更もOKなので

すが。



   



 バスルームからもドレッシングルームからも、こんな素敵なリゾートの海が広が

っているんですよ。もちろん、プールは海に流れ落ちるようなスタイルのプールで

す。天井もタオルの並んでいる棚の背もガラスだから、空と海のブルーが背景な

んです。



      



 それと、とっておきは、これです!グリーンのじゅうたんでは、ありませんよ。そう

ご明察!センターコートの芝ですよ。芝の王子さまに、これ以上ふさわしいじゅう

たんはあるでしょうか?雑草もそう生えることもなく、すくすくと育っています。



     



 ほら、わたしの足元、こんなに埋まっているでしょう。紫を少し帯びたロイヤル

ブルーの寝椅子は、さんちゃん専用に取っておきますから。それと、予定では、

う~ん、3年後、さんちゃん、ここにやって来てくださいますか?


p.s.

 あまりの幸せに、きっと”浮かれてしまう”かもしれませんから、どうかご注意

くださいと、注意書きを書いておきますね』」



          



 それではまた、来週金曜日、リゾコのミステリアス紳士録で、あなたを悦楽の

世界にお連れいたしましょう」


      


 さんちゃんの物語の続きは、2年前に書いた拙いコラムがあります。

最後の写真からどうぞ。
                                       Risaco




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