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リサコラム
連載154回
本日のオードブル
リゾコの
ミステリアス紳士録
5.

夏は何でも知っている

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンに1990年より勤務し、400名以上の顧客を持つカリスマ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)がある。
道楽は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まること。
17年来のベジタリアン。ただしチーズとシャンパンは大好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。
好きな作家は、夏目漱石、中谷彰宏、F・サガン、マルセル・プルースト
      
 
  「また、南の島に行くのかい?こっちは、ぼちぼちやるよ」
              
 
      
  


リゾコのミステリアス紳士録

夏は何でも知っている





 「選挙カーから、悲壮な声が響き渡る夕方。声をからした候補者の汗だくのシ

ャツに、したたりおちる汗。世界陸上も終わり、甲子園の夏も終わり、この夏の最

後の日曜日は、選挙で幕を閉じるようである。どんなに苦しい戦いでも必ず、終

わりが来るのと同じように、この夏もやがて終わりがやってくる。夏が勝負の別れ

路だとハッパをかけられ、はちまきもして予備校の夏期講習に勝負をかけた受

験生の夏も、もうすぐ終わる。つくつくぼーしが鳴き始める夕暮れどき、寂寥感が

胸に押し寄せてくる感覚を味わうのは、大人も同じであろう。親も一緒になって、

夏休みの宿題に追い込みをかけていた夏の終わりも懐かしいものである。



             



 夏はまた読書の夏でもあった。まだ課題の本さえ読み終えていない読書感想

文を8月も29日あたりから書き始めようと焦るが、いっこうに原稿用紙は埋まら

ず、あらすじを拾いながら、ひどい感想文を書いた思い出がよみがえる。部活で

真黒に日焼けしてたくましくなった友だち。ほとんどエアコンの下に居た友だち。

そんな対比が赤裸々になる9月の新学期。子供のころは、ひと夏でぐんと伸びた

こともあれば、どんと落ちる夏もあった。夏は残酷なほどに何でもお見通しだと言

わんばかりに、結果をあらわにしてくれる。


               


 選挙運動は選挙戦と言われる。”戦”とは、もちろん”戦い”を意味するだろう。

その昔は武力で国土を広げ、戦いに勝った支配者が政権を握り、国家を作った

が、その多くが今や世界遺産となって多くの観光客を誘致している。やはり権力

を握るためには、何らかの戦争をしなくてはならないものだと、偉大なる世界遺

産を見せつけるテレビ番組の前で、声をからした候補者の悲壮なお願いの声を

聞きながら、納得するこのごろである。

 さて、あなたはどんな夏をお過ごしだったであろう。避暑地で涼しい風に吹か

れながら、読書三昧だったあなたも、汗だくで仕事に励んだあなたもこの夏を振

り返ってみてもよかもしれない。さて、リゾコは夏の終わりをどんな風に過ごしてい

るのだろうか?



          



  こんにちは、振り返ってみれば、短かった夏のようで、しかし、まだまだ残暑は

厳しく、昼間の暑さにはげんなりしている方も多いのではないでしょうか?わたくし

リゾコは夏が大好きでした。もちろん子供のころまでは。毎日プールに通っては、

真黒に日焼けしておりました。大人になると、夏は汗との戦いを強いられこること

が辛いところです。きちんと服を着たまま、たくさん汗をかなくてはならない状況

は、ほんとうに不快なものです。当然、洗濯物もぐんと増え、毎日が洗濯との格

闘をするのも止む得ません。さらに夏痩せ、夏太り、夏は人により正反対の結果

ともなるようで、やはり夏はモチベーションをしっかり維持するだけでも、大変な

季節です。そんな夏もやっと終わりに近づきましたね。さて、今日はリゾコの自宅

にて、ちょっとお手伝いをしてくださいませんか?なに、そう難しいことではありま

せん。


         


 脚立に登りますので、ちょっと押さえていてくださるだけで結構ですので。はい、

キッチンのシーリングライトの電球が昨日切れてしまったものですから。


        


 家事というものは、簡単な二文字でできておりますが、これなんかは、仕事、

勉強、運動、戦争とも同じく、頭も手も、時には足も使います。つまりは全身、全

霊で当たるものですね。取り掛かろうと思いながら、先延ばしすればするほど、必

ず大きなツケがやってきて、たいへんなことになるものでもあります。しかし、つい

でに”ちょい”とできるものでもあります。


         


 その”ちょい”を重ねていれば、『あらまあ、不思議!できてしまったわ』みたい

なことにもなるものです。


         


だからせっかく物置から脚立を持って来て、高いところに登ったのなら、こんなと

ころも、拭いておこうかしらと思ってしまいます。


         


 しかし、降りるときに手をかけた換気扇の上もついでだから拭いておこうかな?

なぁんて思ってしまうと、なかなか脚立から降りられませんね。


          


 さて、いよいよ降りようかなと、でも、ちょっと待てよ、冷蔵庫の上も拭いておこう

かな?とあなたも思うでしょう。そう、それが自然です。自然な手の動きは自然

なこころの動きですから、それに従うのがナチュラルです。でも、いよいよ脚立か

ら降りるときには危ないから、要注意ですよ。


            


 冷蔵庫にしっかりつかまってくださいね。あれっ、冷蔵庫がちょっと動いてしま

いました。そう、冷蔵庫は意外に簡単に動くものなのです。一度置いたら、引き

づり下ろさなくては動かない銅像ではありませんから。


           


 ついでだから、掃除機のノズルでホコリも吸ってしまいましょうか。でも手にぬれ

たふきんをもったままでしたら、ちょいと拭いてみてもよござんす。


          


なんて、コロンボ警部のセリフを真似てみてもよござんす。そのまま床も拭いてお

けば、隠しごとを吐いてしまった容疑者のように、あなたの気持もほら、すっきりす

るでしょう。冷蔵庫の裏を掃除したら、そう、見せたくなりますね。子供のころに、

歯を磨いて大人に見せていたような感覚ではないでしょうか?


        


 さて、ベランダに置いたままのパキラも暑さでうんざりしているようで、水浴びで

もさせてあげようと思うところです。


           


 人も植物も水で生きているのだと、夏はつくづく思います。夏の水撒きはサンダ

ルか裸足でやれば、自分の足にかけるのも気持ち良くて、ついつい長くなります。

こんなサッシの溝に水を噴射するときなんか、子供の頃、”ウォーターピック”と

いう、水の圧力で汚れを掻きだす水歯ブラシを使っていたことを思い出します。


          


これが痛がゆいけれど、気持ちよくて、長々としていました。ホースでやる水撒き

の楽しさは、きっと子供のころの経験を思い出させるからかもしれません。


          


 さらに、窓ガラスを拭くという行為は、見通しをよくするという意味と、曇りのない

気持ちを確認するためにやるような気がしています。きっとグラスをみがく時もそ

んなこころ持ちがしてるのかも知れません。

 『ときどき、遊びに来てね、そしたら、家もきれいになるから』というセリフもよく聞

きます。部屋を家族、自分以外の人に見られるのも、モチベーションを高める上

できっと役に立っているのですね


           


 『あれ?今日はミステリアスな紳士は登場しなかったじゃないの?』とお思いの

あなた、そうですね、でもあなたにも、わたしにも見えているじゃありませんか。


            


 ほら、もうそこまで来ているんです。だから、用意周到にしておかないと。彼は

詩人であり、芸術家であり、美食家であり、さらに、ファッションのセンスも抜群な

んですから。そうそう手抜きもできません。



              


 『さあ、ムッシュ・アキオ、いよいよ、あなたの活躍の季節ですね。わたしはあな

たが気持ちよくわたしの家にやってきてくれるように、夏のあいだ、ちょい掃除をし

て待っていましたのよ。だって、世の中のことの多くは、夏の最後に結果が出るそ

うですから。選挙結果も、何ごともですね』」


             


 それではまた、来週金曜日、リゾコのミステリアス紳士録で、あなたを悦楽の

世界にお連れいたしましょう」

            


          



                                       Risaco


p.s.

 ナツコとアキオのどちらも好きですが、ナツコをきちんとお見送りしないと

アキオとの蜜月の日々が楽しめなくなりますからね。













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mmm@madame-watson.com






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