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リサコラム
連載736回
      本日のオードブル

あるパリのホテルで

第1話

「クリスマス
イルミネーション」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




パリの
真ん中
有名な
広場を臨む
老舗のホテル
今はレストランもバーも
プールもクローズされた静かな
中庭で、バラのアーチとツリーを
眺めながら深刻な話をしている2人。
さて聞き耳を立ててみましょうか?


 







        

 第1話 「クリスマスイルミネーション」



 3年前、大規模リニューアルを遂げた老舗ホテルの中庭。その中の名物と

なっている巨大なバラのアーチの手前で二人の男性がその向こうの空中庭園

にある、2階建てくらいはある巨大なツリーを眺めている。


            


 「今年のツリーは予想通り、非常にシンプルだね。てっぺんの星とポーセ

レングリーンのイルミネーションだけということか。それにこのバラのアー

チも、イルミネーションの量が圧倒的に足りないな」黒いマスクをしたフロ

アマネージャーの男性はつぶやいた。


            


 「修正させますか?」白いマスクの若い男性は答えた。「いや、そのまま

でいいだろう。レストランもバーもフットネスもクローズなだから、ゲスト

は部屋から中庭を眺めるしかないし、そんな経費は押さえた方がいい。それ

に、12月2日のロックダウンの解禁は先送りになるかもしれない。とした

ら、これ以上、クリスマスに宿泊予約は見込めないだろう。仕方ないな。そ

れに今年のクリマスのテーマカラーはポーセレングリーン一色ということだ

し。知っているとは思うが、ヴェルサイユ宮殿の設計士のジュール

・アンドゥアン・マンサールのへオマージュなのだし」


            


 「ジュール・アンドゥアン・マンサールへのオマージュ?はあ、なるほ

ど。つまりは、マンサール・スイートを宣伝するための企画ですね?」

「まあ、そうに決まっているだろうがね」マネージャーは少々うんざりした

目つきで若いチーフの顔をちらっと見た。


            


 「マンサール・スイートのインテリアはアイボリーホワイトとポーセレン

グリーンだから、まあ、順繰りにマンサール・スイートが今年のクリスマス

のテーマになったということだろう」「そういうことなんですね」チーフは

ポケットから手帳を出すと、今年のクリマスのテーマカラーはマンサール・

スイートのポーセレングリーン」と書き留めた。


            


 「セザール・リッツとエスコフィエの企画はこの3年でもう6回もやった

し、シャネル・スイートも、プルーストとプチット・マドレーヌも常に企画

に加えてきたから、今こそ、ルイ14世の時代までさかのぼるしかあるま

い。さらに、パンデミックの状況では、きらびやかすぎず、寂しすぎず、か

と言って、平凡では当然なく、」「そうですね、マネージャーのおっしゃ

る通りだと思います」と若いチーフはすぐに返答した。


            


 「しかし、」フロアマネージャーはアーチのすぐ前まで行くと歩みを止め

た。「平凡なホテルのデコレ―ションに見えなくもないな…」

「そうですね、確かに」続く若いチーフスタッフもまたすぐに同意した。

「去年のクリマスはリニューアル2年目で、パリでのテロの記憶も薄れたこ

ともあって、過去最高の稼働率だったから、余計に寂しく思えるのかもしれ

ないが…まあ、これでもガーデニングスタッフ含め、いろいろ考えてのこ

とだろう」「そうでしょうね」


            


 「それにしても去年はほんとうに忙しかったな。シェフたちは15日間休

みなく、ぶっ通しだったし、シャンパンも予定数の2倍に達した。それに、

プチット・マドレーヌとマーブルケーキに至っては、前年の3.5倍だった

しね」「ええ、ほんとうにすばらしい結果でした」「そんなことを考える

と、取り戻せない過去の懐かしい日々のような、いや、いまでも悪夢を見て

いるような気がするな」「ほんとにそうですね」「あの頃が過去最高だった

なんてことにならなきゃいいんだが」「ほんとそうですね」若いチーフは相

変わらずすぐに同意を示した。


            


 「この大流行が収束するまでは、我々もじっと我慢するしかないが、それ

でも何かいいアイデアはないものなのか?」「そうですね。それなんですよ

ね~」チーフは両腕を左右に軽く交差させて、首を傾げた。


            


 マネージャーは、またゆっくりと歩き出し、大きなバラのアーチの真下ま

で来てまた歩みを止めた。そしてつくづくと下から眺め上げた。「このバラ

のアーチも今更、時代遅れじゃないかとも言われたけれど、しかし、予想に

反して世界中からゲストを集めることができたし、まあ、SNSの力も大きい

だろうがね…ところで、君はロゼ・ド・メイの季節になると、いつもこの木

の下で佇む老人がいた話は聞いたことがあるかね?」「ええ、あります」

「ロゼ・ド・メイのトワレを研究している調香師だったということが後日わ

かったそうだが、それほどに、ここのバラは素晴らしい香りを放っていたと

いうことだね」「なるほど、そういうことなんですね」チーフは数回うな

ずいた。「今年はロックダウンで営業自体が出来なかった時も、ちゃんと

5
月になるとまたあの甘く気品あるバラの香りを放っていたんだからけなげ

なもんだね」「ええ。そうでしたね」マネージャーは両手を後ろで組んで、

じっと花のないアーチを眺めた。


            


 「そして5月、このままではと、勇敢なペストリーシェフ自らがトラック

に乗って、ケータリングをやった。あれはいい宣伝になったし、我々が正常

にきちんと機能し、努力を続けていることを示すいいアイコンになった。あ

んないいアイデアが何かないものかな?どうだ、君には何かないか?」つら

れて上を見上げていたチーフは、答えに窮した。ほぼ、全く何も考えてはい

なかったからだ。しかし、ここで何かアイデアを出さねば、自分は首になる

のではないかという恐怖にも似た不安が頭をよぎった。そのため、何として

も何か発言するしかなかった。


            


 「クリスマスにその老調香師をこの木の下に呼んだらどうなのでしょうか

?サンタクロースの恰好をさせて…」マネージャーはしばらくバラのアーチ

を眺めていたが、ぽつりと一言言った。「それは、このリッツにということ

なのかな?




   



 上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

  
 *リサコラムは2020年6月より毎週金曜日に連載いたします。

p.s.1
 
 新シリーズを始めました。もちろん、架空の物語ですが一部は事実です。

p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2020年11月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。







シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
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 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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