MadameWatson
マダム・ワトソン My Style Bed room Wear Interior Others Risacolumn
News
HOME | 美しいテーブルウェア | 上質なベッドリネン&羽毛ふとん | インテリア、施工例 | スタイリッシュバス  | Y's for living
リサコラム
連載790回
      本日のオードブル

5つのクリスマス

第1話

「謎のホテル」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




きらめく
オーナメントを
全身に纏ったツリー
玄関のマットには
”HOT”の文字
どうやら
小さな
ホテル
のよう
窓からは
外の様子を
伺うような
ひとりの女性。
なんだかミステリアスな
匂いがぷんとしてきましたよ。


 


 第1話「謎のホテル」



 「村人は容赦のない噂話をした。

都会にあっては『隣は何をする人ぞ』と他人事には関わらないことが

ほとんどだが31人しかいない超過疎の村においてはそうは行かない。


            


 噂話となる前に「ああ、そう言えば、」と世間話の合間にちょっと

挟まれるようになったのは、ちょうど枯れ枝にぽつぽつと緑が芽吹い

た頃だった。それが新緑の季節になると噂話から話題に進展し、木々

が色づき始める頃になると住人はもちろん、近隣の住民にまで噂は瞬

時に広まった。


            


 そして、落ち葉の季節になると、Twitter程の早さで情報は拡散し、

近隣の隣村まで津々浦々、知らない人はいないような旬のテーマと

なってしまっていた。そうなると、次は誰が最新の情報をスクープ

するかという競争になった。その情報源は、山間の辺鄙な場所にで

きた1軒の不思議なホテルだった。


            


 
その場所はと言えば、夏には背丈ほどもある草が生える山の中。

しかも道路は舗装されておらず、その村自体が観光地でもなんでもな

い山間の集落で、いくつも山を越えてしか街には行くとこさえできな

いような山奥の村だった。もしも誰かが街に用事で出かけるとすれば

街で買ってくるものはないかと村人一人ひとりに声を掛けてゆくの

が習わしのようなものになっていた。


            


 
そんな31人の村に新しい家が建つと知らされた時は、みな土を触

ったこともないような都会人が農業をしに移住して来るのだと喜ん

だ。しかしその後、話しは進展を見せず、そしてある日いきなり

3人の大工が遠くの街からやって来て、敷地内に自分たちが寝泊り

する簡素な家を建てた。そしてしばらくすると別の大工と交代し

た。その大工のひとりとして内情は知らされていなかった。


            


 
そんな秘密めいた家はやはりどことなく変な作りになっていること

が村人には分かった。それは、敷地全体が城壁のようなもので囲まれ

ていることだった。さらに、奥行が長い作りになっていた。村人はま

すます首を傾げた。敷地は十分あるにもかかわらず、そんなウナギの

寝床みたいな家になぜする必要があるのか?しかし、中を覗きたくて

もしっかりと石積みをした塀で囲まれているため、覗き見ることはで

きなかった。中にはほんとうにうなぎのような、あるいはろくろ首の

ようなお化けが住むための家ではないかという噂さえ真実味を帯びて

きた。


            


 
そうして、春から秋中かかって城壁は完成した。そして、やっと中

の家が建てられ始めてひと月経ったある日から作業は日が暮れてから

も照明をつけてまで行われた。当然、日ごろから話題らしい話題もな

く、さらに、村人の苗字はほとんどが同じで、そのためみな名前で呼

び合っていたほどだからその家の話題は常に興味の中心に据えられた。


            


 そしていよいよ、冷たい木枯らしがぴゅうぴゅうと山から谷に向か

って吹き始める11月になって、ようやくその城壁の家は完成したよ

うだった。そして驚くことに、その城壁の正門にはHOTELの文字が刻

まれていた。村人はみな驚嘆した。しかし、その正門は固く閉ざされ

たままで開かれることなく、1月足らずが過ぎた。


            


 そして、ようやく堅固な正門が開かれると、その門の奥にこじんま

りした玄関の家らしきものが建っていることがわかった。玄関先には

2mほどのモミの木があり、そこにたくさんのきらめくボールが吊る

されていた。まさしくこれが別世界だといわんばかりに。


            


 そして『ホテル』には1日にひとりだけ招かれて無料で食事と宿泊

のもてなしがなされるとビラがまかれた。その順番は年齢順で、

まずは100歳の長老に最初の招待状が届けられた。


            


 午後2時に長老の家にリムジンが止まり、ホテルに向かい入れられ

ると贅沢な食事のもてなしがされ、1泊するとまた翌朝、自宅まで送

り届けられた。そうして12月1日から31人の村人の最後の45才

の一人暮らしの女性の家にリムジンが止まった。みな、何かが起きる

予感を感じて、秘かに隣村の警察官までが動員されていた。しかし、

最後の女性がホテルに招かれた後、正門は閉ざされたままで二度と開

くことがなかった。さあ、君たちはこの話を聞いてこの先の展開を

どう読み解くかな?」


            


 
白衣を着た白髪の教授は演台の上から困惑の色をにじませる学生た

ちを見渡しながら勝ち誇ったような笑みを浮かべた。




   


上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは2021年より毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1
 新たな物語を始めました。
いよいよ、12月ですね。カウントダウンがはじまりましたね。
この物語は連載のような読み切りのようなものに
なるようです。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2021年12月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
    お申込はこちら→「Contact Us」                                     

                                       * PAGE TOP *
Shop Information Privacy Policy Contact Us Copyright 2006 Madame MATSON All Rights Reserved.