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リサコラム
連載903回
      本日のオードブル

『花を愛でる家』

第1回

「藤棚のある家」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




咲き誇る

藤棚の下

靴を脱いで

水に足を浸そうとする

藤色のショールをまとったひとは

だあれ?

 



第1回 「藤棚のある家」



 「最も好きな花は藤の花です。たくさんの紫色の小さなつぼみが上の

枝から下に向かって咲いてゆくその様の麗しさに今、つくづく魅了さ

れています。


            


 これまで桜の花見はしなくても、藤の季節になると私はあちこちの

藤棚の名所を巡っては、その下で藤の麗々しいオーラを浴びてきまし

た。
藤の花はどうしてこのように下に垂れていく運命を選んだのだろう

か?美しさにジェラシーを感じた他の花とは別の生き方をせざるを得

なかったからだろうか?また、藤は険しい崖のような場所に自生して

いるそうだから、人間に手折られないためにそんな過酷な場所を選ん

だのだろうか?などと思いを巡らせながら。


           


 
そんな藤棚のイメージからは想像もつかない場所にひっそりと咲い

ていたためにいっそう愛おしく思って、
藤の花は古(いにしえ)から

格別に観賞用に珍重されてきたのかもしれません。
桜の花と並んで

その垂れ下がった藤の房は、和装の髪飾りにも多く使われていますか

ら、たおやかで優美な
姿形は日本女性の永遠の憧れの美の象徴のひと

なのかもと思います


            


 しかし、私にとって藤の花が特別な花になったのは、小、中、高

と、
藤子さんという名前の美人の友人がいたことからなのです

名は体を表すと言いますが、長身で7等身、いえ、8頭身以上の

小顔で脚長、身長順に並ぶと一番後ろから2、3番目という位置

でしたが、そのプロポーション故、
当然ながら、小、中、高と男

にはモテモテでした。同時に女子にも人気者だったわけはその

性格にありました。藤の花そのもののような穏やかさと気品を兼

ね備え、媚びず、嫌味なく、実家は裕福でも決して偉ぶるところ

なく…そんな人気者は勉強も運動もできないならまだ溜飲が下が

るというものです。しかし、その反対に、勉学、運動、芸術的才

能においてすべてトップという非の打ち所がない人物だったので

す。


            


 当然、彼女の友人になりたい候補の女子たちで藤子さんは常に取

り巻かれていました。しかし、私はその輪には入れず、彼女と取り

巻きの友人たちの3歩後ろをこそこそと歩きながら、そのオーラの

おこぼれにあずかろうかとしていたのです。そんなある日、『天は

二物を与えず』ということわざを知ったのです。それ以来、ことわ

ざは常に正しくはないと思うようになりました。


            


 高校に進学する時、藤子さんは最高ランクの学校に推薦枠で行き

ました。もちろん、私はその枠には入っていませんでしたから、彼

女と同じ高校に進学しようと必死で受験勉強をしました。そして、

なんとか引っかかって、藤子さんの同窓生になることができたので

す。その時のうれしかったことは、時を経た今でも鮮明に覚えてい

ます。


            


 藤子さんはずっと「ふ~ちゃん」と呼ばれていました。今の
学校

では
、名前にちゃんや君づけはされないようですが、当時はもちろ

ん、男
は君で、女子はちゃん付けで呼んでいました。そのふうち

ゃんと私の家は正反対の場所にありましたから学校帰りに一緒に下

校することはなかったのです。もし同じ方向に家があったとして

も、一緒に帰る勇気はなかったでしょう。別の友人同士で「

ふーちゃん」と話題にしても、私にとって、ふーちゃんは常に見上

げる存在で直接、親し気に話をしたことさえなかったのです。


            


 今も藤棚を見上げると、常に三歩下がった位置から長身の藤子さ

んを見上げていた自分を思い出します。私にとって、藤の花の典雅

さ、気品は藤子さんと一心同体した。そしてさらに憧れの存在であ

っても、かなりのジェラシーを抱いていたというのがわかったの

は、高校を卒業してそれぞれ別の大学に行くことになった時で

す。もう、藤棚を見上げていなくてもいいのだというような感覚

で、なんだか解放されたような気分になりました。藤子さん自身

は私のことなどなんとも思ってはいなくても、私はやはり、藤子

さんをライバル視していたのでした。


           


 そして社会人になり、結婚し、子供が生まれてから、いつか、

自宅に藤棚を作りたいと夢見るようになっていました。藤棚のあ

る家をつくることで、藤子さんと並ぶことができるようなそんな

妄想を抱くようになっていたのです。


            


 子供たちの巣立った数年後、まもなく引退を迎えるという年に

なってようやく、その夢がかないました。垂れ下がる藤のオーラを

浴びるほどの藤棚にはまだ至ってはいませんが、藤棚の下には

小川に見立てた水の流れる浅い溝を掘りました。おかしい話ですが、

数十年経って、やっとリベンジができた思いを今、ひそかに感じて

います。


            


 
ふ~ちゃんの当時の名前は伊集院藤子といい、私は田中花子で

した。この年になっては、もうなんとも思ってはいませんが、子供

時代は親を大いに恨んだものです。だって、藤の花と単なる花、

これは大いなる違いだったのです。だから、私の娘には藤と名前を

付けました。子供時代のライバルとは一生のライバルだと思いま

す。今、2階の寝室から藤棚を見下ろしながら思う、私の素直な

思いです





 



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

相手はまったく自分のことは忘れてるだろうに

ずっとライバル視している友人はいますか?

私はたくさんいます。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2024年2月号です。



           


p
.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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