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リサコラム
連載642回
      本日のオードブル

彼女たちの部屋

第2話

「『B子を探せ』」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。



ビルの個室にいる
3人はA子、B子、C子
それぞれ、パソコンで
仕事に集中しているのでしょうか?
それとも何か別のことに思いを
巡らせているのでしょうか?
そんな様子を
見ながら
想像を
巡らせて
新春の特番
ワークショップが
始まったようですね。
どんな風に展開するのでしょう?





 







        

第2話 「『B子を探せ』」



 「さて、みなさん、本日は新春深夜にお集まりいただき、まことにありが

とうございます」


             


 先生はモニター画面に向かって5人に挨拶をした。5人はそれぞれ、手を挙

げたり、お辞儀をしたりして「おめでとうございます」と言った。「本日のネ

ットワークショップは『想像力教室』第1回です。そしてテーマは

B子を探せ』です」画面の5人はそれぞれモニターに顔を近づけた。


             


 まずは先にお送りしましたこのイラストをご覧ください。ビルの中の個室に

3人の女性は、ネット上で会話をしています。彼女たちの短い会話を読んで、

B子を当ててください。それではどうぞ!」5人はそれぞれ会話を読み始めた。


            


 A子「ロボットが日常生活にどんどん入ってくる近未来になれば、便利にな

ることで様々な問題も解決するんじゃないかしら?私はロボットとか、AI

期待を寄せているわ。だからマイナス面よりプラス面の方が断然大きいと思う。

街は清潔で清らかな未来になるはずよ」C子「清潔で清らか?とんでもない

わ!世界中、汚いところだらけで、いろんな問題が山積してるじゃない。ごみ

の不法投棄。飢えと貧困。なのに、片方で余った食べ物を大量に廃棄して、

さらに、食べ過ぎが原因で死にそうな人もいるのよ。ロボットじゃ、簡単には

解決できないと思うわ。」A子「確かに、自分だけよければ廃棄していいとい

う時代は終わったでしょう。でも、高性能のごみの分別&処理ロボットができ

れば解決できることはないのかしら?さらに、余剰の食料の分配はドローンで

できるようにはならないかしら?」B子は終始無言」


            


 そこで先生は、画面の中の5人に向かって問いかけた。「さて、みなさん、

B
子がどれか、わかりましたか?」それぞれのモニターには4つの疑問符をつ

けた顔が写っていた。先生は5つの顔を見ながら笑みを浮かべて言った。


            


 「それでは、順番にゆきましょう。いちこさんから。先生は一番右上の女性

に発言を求めた。「先生、私から?」いちこは大きなソファに座り、巨大なポ

テトチップスの袋を膝の上に持っていた。「でも、判断材料がそれだけじゃ、

ほとんどカンで犯人捜しをするようなものでしょ?それに、B子は黙ってる人

ってことでしょ。私、発言しない人間はずるいと思います。だからずるそうな

と、いえば、ええと、」


            


 「私、次?ですよね」2番手のニコラが画面の中で待ちきれない様子で手を

挙げた。彼の座るテーブルの上はチョコレート菓子がうず高く積んであった。

「僕もいちこさんに同感ですね。黙っているB子は自分では何も行動を起こそ

うという気がない人間ってことでしょ。しかし、僕はA子と同じで未来にプラ

スの期待を寄せてますね。5年前と今では、断然今の方がいいです」


            


 「変わらないのは、」三ちゃんが発言を求めた。三ちゃんは物にあふれた部

屋で物陰から顔を出すようにして発言をした。

「はい。僕も未来プラス思考です。なかなか変わらないのは人間の基本的な能

力ではありませんか?まあ、いい大人というか、サラリーマンのね。だって、

僕の英語力も5年前からほとんど進化してませんし、はははは、」三ちゃんは

自虐的な笑みを浮かべて笑った。


            


 「お言葉ですが、」と手を挙げたのは、4番目のよしだった。よしは深夜の

職場のデスクで参加した。デスクの上には書類が山積みになっている。「いい

大人とか、サラリーマンとか、そんな風に一般化すること自体がおかしいと思

います。こんなことを言っては自慢のように聞こえるかもしれませんが、私の

TOEICの点数はこの五年で約200%UPしました。現在958点です」


             


 「それは失礼をいたしました」三ちゃんは物をどかしながら隙間を作ると、

画面を向いて素直に謝った。「僕の意見は違います。その英語力も大いに役立

たせなくては意味がありませんよね」と言ったのは逸(いつ)だった。逸は片

手でゲーム機をいじりながら、もう片手ではスマホ3個と格闘していた。

「僕はAIに仕事を奪われるってことは、当然の運命だと思います。先日、SNS

でこんな話が話題になっていました。アメリカで撮られた100年前の写真

を見ると、馬車20台に車が1台写っていたそうですが、その5年後には、

反対になっているそうです。つまり、車20台に馬車1台です。当時でも5

でそれだけの進化を遂げているのですから、5年後は電車の座席の隣は人間

なのか、それともロボットなのか見分けがつかなくなっていると思います。

そして、語学習得についてですが、人間は機械にかないません。語学力に自信

がないエクゼクティブなら今すぐ諦めて、数か国語を流ちょうに操るアンドロ

イドを秘書として雇った方がいいと思います。まあ、機械だから買うって表現

するのかな?だって、食べさせるための給料はいらないですからね、」


            


 TOEIC高得点のよしこが手を挙げて発言した。「アンドロイドの秘書と仕

事するの?それが普通になれば、人の世はおしまいでしょ」


            


 すぐに、逸が反論した。「今でさえ、AIの秘書はネットで雇えるんですよ」

 今度はニコラが遠慮気味に手を挙げた。「ロボットって小説も書けますよ。

ロボットも応募できるコンクールありますから。もう、だいぶ前から。それに

百か国語以上に翻訳可能な優れた翻訳機を持ってゆけば、世界中どこでも不安

なく旅ができますし」


            


 そこで先生は手を挙げているいちこに発言の機会を与えた。「いちこさん、

どうぞ!」「私もひとりの経営者ですが、ロボットだけで運営できるのなら、

そうしたいですね。今、アメリカには有給休暇の無制限化をしている優良企業

と言われている会社があるんですけど、それって近未来の人間をロボットと差

し替える前のステップをあえて踏んでいるような気がするんです。だって、片

方で正確な仕事ができて日々生産性を向上させられるロボットがいるのに、い

つも休んでいる人間に高い給料を払う経営者はいないでしょ。私はそれを見込

んでのことだと思うわ」


            


 「それは正論でしょう」と言って手を挙げたのは、三ちゃんだった。

「まあ、この僕の部屋を見ていただくと、これが現実ですね」三ちゃんは少し

恥ずかしそうに部屋のものを脇に寄せながら言った。僕はよく気分屋って言わ

れるんです、まあ、否定はしません。でも、どうしてもやりたいこととやりた

くないことがはっきり分かれてしまうんです。特に、片付けとか、整理整頓は

苦手というか、やりたくないものの一番で、仕事でも、やっぱり、整理整頓は

やりたくない分野の仕事だし、それに仕事上でもケアレスミスもまあ、ありま

すからね。人間だしね。これまではそれを乗り越えてステップアップすること

で人間は成長するのだと教えられてきたけど、掃除、洗濯、整理整頓を僕の代

わりにしてくれるロボットがいたら、ストレスも減ってミスも減ると思うし、

すぐにでも買いますよ」


            


 「まあ、お部屋の状況を見ればわかりますよ」逸が発言した。「あなたのよ

うな気分屋の不正確な人間より、正確にこなせるロボットの方がいいに決まっ

てますから。過去が証明しています。気分屋である生き物の馬が機械である車

にとって代わられたのと同じことが数年のうちに起きるってことですよ。だっ

て、馬より機械の方が楽です。排泄物で道路は汚れないし、車の操縦は簡単で

すから。つまり人間よりロボットの方が操縦は簡単ということですよ」逸はち

ょっと辛辣な口ぶりで早口でしゃべった。


 TOEIC高得点のよしこは憤慨の表情で手を挙げた。

「そうでしょうとも。逸さん言われる通り、すでに危険な時代に突入している

ってことは私だってわかりますよ。ドローンを飛ばしてピンポイントで殺戮

を犯すのも、利便性と面白さからでしょ。さらに低コストで正確だしね」

そして先生を含む6人は沈黙した。


            


 数十秒後に沈黙を破ったのは、いちこだった。「あの、先生、今日の課題と

だいぶずれていませんか?今日は、絵の中の3人の中から、想像力を駆使して

B子を探せ』じゃなかったんですか?」「でしたね」先生はちょっと苦笑い

をした。「まあ、今日のワークショップは新春特番的なものですから。しかし

どうです?みなさん、言いたいこと、言えましたか?多少のストレス解消と、

ご自分の問題点も見つけられたのではありませんか?」


 「は~?」「なに、それ?」「先生、それはないでしょう?」5人はそれぞ

れがあきれた表情をした。


            


 先生はにこにこしながら続けた。「今日は特に選ばれし5人の方々に面白い

討論を聞かせていただきたいと思いましてね。それぞれのお部屋の様子や現状

がかなり問題に達していそうな、という意味ですがね。でも、『B子を探せ』

いいアイデアでしょ?話のきっかけにしては、我ながら、今回は上出来でした。


 それでは、選ばれしみなさま、新しい年です。ご自分の環境を見渡して、

すぐにでも、改善に取り掛かりましょう!ではまた次回!ごきげんよう!」

先生はそう言うとスイッチを切った





   



 上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1  
    人間同士や、ロボットとの競争に勝つことより、
    自分自身の達成感で
    幸せ感が決まるように思います。

p.s. 2  

    2019年の2回目のコラムも、無事に書けました。
    私の幸せな瞬間の一つです。


  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2019年1月号です。
           
           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTood Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。







シンプル&ラグジュアリーに暮らす』-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
             (木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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