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リサコラム
連載856回
      本日のオードブル

カフェにて

第8回

「カフェ・カミュ」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




ブラ
インド
越しに
広がる風景
はパリの街角?
残念ながら、ここは
アミューズメントパーク
のカフェ、”カフェ・カミュ”
オレンジの椅子がそれっぽい感じ?
さあ、それでは不条理な世界の会話を
覗いてみましょう。


 



第8回 「カフェ・カミュ」



 ここはパリの街に似せて作ったアミューズメントパークの中にある

1軒のカフェ。その名は『カフェ・カミュ』マスクなしが解禁になっ

たとある日曜日の午後、常連らしき女性二人はどんな会話を交わして

いるのでしょうか?



            


「知ってる?マクロン大統領って、カリギュラなんだってよ?」


「カリギュラ?カリギュラって、何だっけ?あぁ、あの暴君の

カリギュラ?もしかして?」


「そうそう、議会でね、ある議員がマクロン大統領をカリギュラ

呼ばわりしたそうよ」


「はあ、なるほど。それは過激な発言ですね~。もしかしたら、

あの支給開始年齢が62から64歳になるって年金改革、ですか?」


            


「そう、下院の与党が過半数割れしてるから、首相が、つまり大統

領が下院に決議権を渡さずに強行採決しちゃったんだって、それが合

法か違法かでまた議論が沸騰しね、」


「ほう、詳しいね~」


「まあね、これでも、おフランスびいきなものですから…それで

不信任決議案が出されたんだけど、9票足りなくて否決されたらし

い。まあ、マクロン政権と首相の首はつながったのだけど、」


「フランス、なんだかいつもデモとか大変なんだね」


「よその国のことを心配してる暇はないんだけどね、でも、

日本人って、物言わぬ国民じゃない?本来はフランス人みたいに、

ああ、あるべきなのかな~なんて、私、最近思うようになった」


            


「まあね、物言わぬ国民性はいいのか、悪いのか、言ったところ

で、何か変わるわけじゃないって思ってるんじゃないのかな?」


「そうよね。他山の石でもないかもしれないんだけどね。知らな

い内に国民が不利益を被ることになってゆくのかな~」


「でも、カリギュラ呼ばわりはすごくない?カリギュラはローマ

帝国の狂った暴君でしょ?」


            


「うん、狂った皇帝には違いないとは思うけどね。私、カミュの

小説で読んだことあるよ。小説のカリギュラは戯曲なんだけど、

宮殿の中を側近とか貴族たちがうろうろ歩き回っている様子から始

まるのよ。そこに嵐の中、ずぶ濡れになってカリギュラが戻ってく

るところから始まるの。『3日間も一体どこへ行っていたのです

か?』と側近が尋ねると、『森の中をさまよいながら、月を取り

に行った』って言うの」


「はあ、月ね~それは無理だわね。今でさえ無理なんだから、

当時はもちろん、無理よね」


「権力と財力があって手段を選ばずにすべてのものを意のままに

操られる、手に入れられる人間が陥る境地っていうのかしら、わか

んないけど、そんな人間が求めるのがつまり、月に象徴される、

不条理を手に入れることで自由になれると思うところじぁないの

かなって理解してるけど」


            


「う~ん、不条理か~難しいね」


「カリギュラ呼ばわりした議員もなかなかいい表現を使ったわね

って思ったわ。最高の侮辱でもあり、最上の名誉でもあるのかもっ

てね。まあ、2000年以上も前の皇帝だし、ほんとうにそうだっ

たのかは定かではないだろうけど」


「でも、今でも実際にそんな人たちいるんじゃないの?まあ、

ハリウッド映画の見過ぎかもしれないけど。何もかも手に入っちゃ

って、この地球上にはもう欲しいものもやりたいこともなくなった

とき、そうだ、行こう、月!て」


「京都じゃないんだから、そう簡単には無理でしょうけど、でも、

今も昔も、お金は権力になるわよね。手に入れたいものがどんどん

エスカレートしてゆくってことよね」


            


「でも、それって、バーチャルでも言えることかもよ。バーチャ

ルだと何でも手に入るような気になるからね」


「バーチャルでなくてもよ、グーグルマップでなら地球の隅々まで

行けるんだし、いつか、地球外でもどこでも行ける時代がくるんじゃ

ないのかしら?そうなれば、カリギュラの不条理を理解できる人もい

なくなる、イデオロギーも変わる、すべてが変るってことじゃない?」


「わ~、こわ。そうなる前に私、死にたいわ。恐ろしい時代になる

ってことだもの」


            


「そうよ、南極でも、北極でも、砂漠もジャングルもリゾート化

されて、みんなが普通に旅行できるようになっているかもね。それ

とも、地球環境の劇的な変化で、もう人間が住めない惑星になってい

るのかも…でもね、私、身の丈に合わない心配をするの、もう、やめ

ようって思ってるのよ。よその国にカリギュラがいようと、ボランタ

リー精神に欠けるって言われようが…」


「それはわかるよ。自分の手の届かないところで、いろんな物事が

決まっていると思うとやっぱり無力感というかそんなものを感じるけ

ど、自分自身がもし、病気になれば、自分の病気のこと以外を真剣に

心配できるかって、それは無理だと思うから」


            


「たしかにそうね。ボランタリー精神って、健全な精神だけではな

くて健康な肉体に宿るってことよね。だってイエス・キリストにも、

マザー・テレサにも、ガンジーにもなれそうにないんだし」


「それでも、私自身は隣人を愛する力がないわけではないのよ。

隣人愛はあると思う」


            


「ふ~ん、なるほどね。愛、愛、愛、アイか~」


「何かおかしい?」

「いや、おかしくはないけど、でも、愛って何?って言われたら、


私、まるで答えられない気がするのよ」


「愛は愛でしょ、人間同士の愛、動物に対する愛、地元愛、地球や

地球環境に対する愛、まあ、そんなことでしょ?」


            


「私ね、愛こそ、不条理だって思う。だって、とらえどころがない

もので、捕まえたって思ったら、幻想だったり、憎しみに変っていた

りとか、話しは飛躍するけど、私、15回も引っ越ししたのよね。

その度に友人ができて、そして疎遠になって、でもまだつながってい

る人もいるんだけど。離ればなれの人に持つ感情は愛なのか、それと

も、相手を知らないだけの幻想なのか、そう考えると、未知のカリギ

ュラに対してもつ感情と変わらないような気もするよね。ただ、一般

ピープルの私なんかが言えば、単に笑い話にしかならないけど、愛は

幻想、愛は不条理だと思うのよね~」


            


「それじゃ、何が理にかなっているって思うの?」


「そうね、理にかなっているって思うのは、やっぱり、これかな、

たまの休日にフェイクなパリの街にやって来て、カフェでコーヒー飲

みながら、自分勝手なこと言って、無駄口叩いて、楽しんでる自分、

確かに存在していて、楽しいって実感しているから」


           


「ザッツ、ライト!そうかもね~1時間やそこらでストレス発散でき

てる自分自身が一番幸せなのかもね」


「つまりは自己愛ですか?」


「まあ、そうとも言えるかな~不条理を語り、自己愛に浸る、

1,500円で!この自己愛だけは誰にも奪われたくない!」


            


「それが不条理を克服した末の真なる自由ってことなのかもよ、

まさに、カリギュラが求めていたことじゃないのかな~カリギュラ

にここ、カフェ・カミュ、教えてあげれたらね~




   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

 カフェ・カミュ、世界中にたくさんありそうです。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2023年3月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
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 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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