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リサコラム
連載886回
      本日のオードブル

『夢、描きます。』

第15回

「落ち葉のベッド」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





紅葉した木々
そこから落葉した
葉っぱが重なった
オレンジの絨毯
夕陽に染まると
空気まで
オレンジに
染まっているみたい。
あれ、そこに透明人間が
寝そべっているみたいです





 



第15回 「落ち葉のベッド」




 「あの景色、忘れられないんです。オレンジ色の世界、実に感動的

でした。オレンジ色のふかふかの落ち葉の絨毯を取り囲む、オレンジ

色に染まった木々がずっと地平線のかなたまで続いていたのです。


            


 もう25年以上前にイタリアの田舎の一本道での光景でした。観光

客なんて来たこともないような村で、その夕昏、私はあのオレンジの

世界をひとり占めしたんのです。もちろん、偶然ではなく、下調べし

てはしていたのですが、カメラマンなものですから。でも、まさか、

ここまで感動的だとは思ってもみませんでした。時折、吹く風が

ぶわっ~と真っ赤な木からオレンジ色の葉っぱを舞い散らせるので

す。その紅葉のシャワーを浴びながら、震える手で何回シャッターを

切ったかわからないくらいです。早くこれを誰かに見せたい、

しかし、今、この瞬間は自分のものだけにしておきたいとも思いま

した。


            


 日本に帰って、撮った写真をまずは家族に、そして友人に、20

ぐらいには見せたと思います。その後、個展もやりました。写真は売

れたんです。結構な値段で。その後、どうしてももっと多くの人に見

せたくなって、不思議ですね、寄稿したり、最近では昔の写真として

SNSに投稿したり。だんだん、あの美しい風景をみんなに見せたく

なって、思い出すだけで息が止まるくらいに美しかったんです…でも

、私のこんな解説付きでも写真を見ている人たちの反応は、「素敵、

きれいですね」と、そんな具合です。私はそれでも一緒に感動を分か

ち合ってくれていると思っていたんですよ。でもそうではなかったん

ですね。なぜそうではなかったかと言うと、私が逆の立場になった時

つまり誰かが行った旅行先の美しい海とか山とか街並みとか、そん

な写真を解説付きで見せられた時、私自身は心底感動しているわけで

はないと言うことに気づいちゃったんです。当然ですけどね。だって

一人一人感じ方も違いますから。自分の感情を他の人が共有してくれ

るのは、そこに別の何かの思い出とか感情が入って、全く別の情動で

はないだろうかと、これ、私の持論なんです。それ以来、あのオレン

ジの世界は私の心の引き出しにしまっておくことにしました。あの写

真だけは誰にも見せないことにしたのです。


            


 それで私はどうしてあのオレンジの世界をこれほどまでに美しいと

感じたのかと考えたとき、やはり自分でも別の感情があったのだと思

いました。それはひとりになりたかったのです。それもあんな美しい

世界の中でひとりぼっちでいたいと思って、あの村までひとりで行っ

たのです。


            


 先生は、2001年宇宙の旅っていう、スタンリー・キューブリッ

ク監督の1968年公開の映画をご存知でしょうか?今、2023年

に見ても、同じ問題意識で見られるところがすごいんです。映画の中

で人工知能を持ったコンピューターのHARUが人間のくちびるを読む

ようになって、自分をなきものにするのではないかと思い、宇宙飛行

士をひとり殺してしまうんですけどね、そう、宇宙空間にひとり置き

去りにするのです。そんな残酷なシーンもありますが、その映画を見

た時、この地球上にも宇宙空間みたいなひとりになれる美しい場所が

きっとあるとそう考えたのです。そのころ、仕事とか、人間関係とか

で色々悩んでいまして、それで、あのイタリアの村を探し当てたんで

す。その頃はネットもそこまで普及していなかった時代でしたから、

知られざる美しい場所がまだ地球上にはたくさんあったのです。そん

な思い出の写真であっても同じ体験を分かち合えるっていうのは不可

能です。たとえ、エベレストの登頂に成功したとしてもその山頂の風

景写真を誰かに見せたところで、登頂を果たした人と同じ感覚を共有

できるわけではありませんよね。どうやったらその感覚に近い写真を

撮ることができるのか、日々、挑戦です。


            


 私は写真を生業にしていますが、得難い感動を伝えるという意味

で、写真には限界があることは写真家が一番わかっているんだと思い

ます。今後、どんなにすばらしい写真が出現しても、モナリザの場所

に鎮座することはないでしょう。写真は名画には負けてしまうので

す。画家がその絵にかけて時間差で負けるのでしょうか?どんなに

その場所を探し当てて遠路はるばるやってきても、すばらしい夕日

の写真を撮りましたって言っても、その村人はずっとその景色を見

ているわけで、都会からやって来て珍しがって馬鹿じゃねぇのって

思っているかも、いや、そうでしょう。


            


 先生、私、今日、ここに来たのは、その理由を探すためではない

のです。本当は私がもっとやりたかったことがあって、それが今と

なっては夢になってしまっちゃったからなんです。その林は伐採さ

れたらしくて、悲しいことに今はもう存在しません。私が1番やり

たかったこととは、笑われるかもしれませんけど、ハイジのベッド

なんです。ハイジがおじいさんの家に行った時におじいさんが作っ

てくれた積み上げた麦わらの上にシーツをふわっとかけただけのハ

イジのベッドです。あれを、あの落葉の絨毯の上でやりたかったの

です。きっと気持ちよかっただろうなって思います。人間、そう思

った時に即しないとその後は無いかもしれないんです。


            


 だから、先生にあの光景を絵で表現してもらいたいんです。もし

も、私がその時、あのハイジのベッドに寝っ転がっていたら…

みたいなちょっと空想も織り交ぜて。世界の中でたったひとつの

私のオレンジの美しい世界から、みんなに見て、空想してもられる

夢のようなオレンジの世界を絵で表現していただきたいのです。

その絵をイタリアのあの村の美術館に寄贈するのが私の本当の夢な

のです
。」


 



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

 今秋こそはオレンジに染まりたい。



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2023年10月号です。



           


p
.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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