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リサコラム
連載976回
      本日のオードブル

『饒舌の時』

第1話

「黒ずくめの二人」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




ダークブルーに渦巻く水の上に

白いワンピースの女性が浮かんでいます。

気を付けてね。

渦巻きに飲み込まれないように。

さもないと

破産するわよ!



 



第1話 「黒ずくめの二人」




 黒ずくめの二人はいつもの場所に並んで座っていた。


            


 「さっき、フランスの一番偉い人が言ってたんだが、自由でいる

ためには1人でなくちゃならないって」「へえ~それで?」

「それで、ひとりでいるためには強くならなくちゃいけないそうだ」

「ふ~ん」「それで、この先、ずっと自由でいるためにはもっと強

くなる必要があるから、戦車とか仕入れなくちゃいけないそうだ」

「なるほどね、よその国の人からあれこれ言われたり、支配された

りしたくないってことね」「そう、それが自由ってことだろう」


            


 「ねぇ、ねぇ、あの子見て、今、水の中に飛び込んでる、あの子、

まさに自由を謳歌してるみたいよ」「今まで、不自由な思いをして

たんだ。やっと自由になれたって気分で泳いでるんじゃないのかな

?」「わたしは泳ぎたくないわね。わざわざ疲れることしたくない

わ。水浴びならいいけどね。夏はさっぱりするから…」「でもさ、

せっかくリゾートに来たんだから、泳がないとソンって思ってるん

じゃないかな」「ああ、ソンってことね~。確かに」


             


 「ここのリゾートは、ヤシの木をジャングルからわざわざ取って

きて、植え替えたんだ。その間に小さな家をまばらに建てて、都会

のせせこましい場所に住んでいる人たちが自由を求めにくるよう

に、“広々とした寝室、広々としたクローゼット、広々としたダイ

ニング、広々としたお風呂、ふかふかのバスローブ”があります

よ、って言ってるそうだ。でも、僕らの家に比べたら、まるでおま

まごとの家みたいだよ」「まあ、そういう見方もあるわね」


            


 「ここに来るために1年間がんばって仕事して、おいしいものも

我慢して、節約に節約を重ねて、みんなが休みの一番高い時に電車

乗って、バス乗って、飛行場に行って、飛行機の狭い座席に我慢し

て乗って、やっとついたら、また、タクシー乗って、やっと辿り付

いた人がほとんどなんだから。それまでの苦労もいやなことも全部

忘れて、自由を味わいたい!って気持ちも高まるのはわかるよ。

あの子の幸せそうな顔を見ればね。かわいそうに、毎日、上司の

顔色を窺ってるんだろうね。何もしないでダラダラするために、

ここに来てるんだよ。その自由時間も、たった4、5日、それで

、コーヒー持ってもらったり、肩揉んでもらったり、足つぼマッ

サージンに、ペディキュアに、でも、なんか違うと、ちょっと文

句も言いながらも、やってもらいに来てるんだ。それでも3日も

したら、飽きて、リゾートの外のレストランで、地元の人と触れ

合いたいって言うと、リムジンの運転手が地元の人は行かないよ

うな高級レストランに連れて行って、結局、彼女の国から輸入さ

れたワイン飲んで、キャビア食べて、チーズ食べて、それで、

『リゾートに来たら、地元のレストランも味わうべき』なんて思

うんだよ」


             


 「なるほどね、よく知ってるわね」「もちろん!僕はね、リゾート

をテーマに論文書こうかなって思ってるくらいだよ。快適、安楽

で、エクスクルーシヴな感じと、時には虚栄心をくすぐられる

非日常へのエスケープ、それがまさにリゾート。だから、場所は

辺鄙で、行きにくい場所が適している。つまり、隔絶された場所

ってことだね。簡単にはたどり着けないということは、簡単には

逃げ出せない、ちょっとしたスリル感というのか、ミステリアス

感を醸し出している必要があるってことだ。でも、その中に足を

踏み入れたとたん、非日常のリゾートに自由を求めてやって来た

つもりで、実は囲われた人になっていることを忘れてしまう。リ

ゾートの中の食事もマッサージも、エステも、ものすごく高いけ

ど、それにも麻痺してしまう」


            


 「つまり、リゾート税を払ってるってことね」「そのとおり!

ワンアイランド、ワンリゾート的な場所に来たら、もう、完璧に

囲われ人だから、リゾート税に屈するしかない。もともと、ネッ

トで見て、あのリゾートには、ミステリアスな魔法のような世界

がある、行ってみたいって、好奇心をくすぐられてやって来てる

んだから仕方ないね。ほら、あの彼女の着ている水着のようなあ

の白いドレスのような感じだよ。部分的にはベールで覆い隠され

ているから、ミステリアスに感じるだろう。実際のリゾートに来

てみたら、ちょっと予想とは違っていて、落胆することもあるか

もしれないけど、でも、ここまで来たんだから落胆なんてしたく

ないし、いい気分のままでだまされていたい、とことんってね。

まあ、一種のロマンス詐欺にかかる気分に似ていると僕は思う。

まさしく非現実の世界に誘われて来たんだから」


            


 「それにしても、あなた、よくしゃべるわね、相変わらず!

リゾート談義ももう、わかったから、ねえ、なんか食べに行かな

い?私、おなかすいたわ。ほら、見て!今、厨房から大きなゴミ

出したわよ。ごちそうたくさんありそう!今がチャンスよ!」


            


 「OK、わかったよ。僕らはもともと、そしてずっと自由だ!

この大空が家なんだからね!さあ、行こう!」二羽のカラスは

ゴミ袋めがけて急降下した



   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。



p.s.1


 自由をテーマに新シリーズです。

第一回はリゾート談義をするカラスの二人。

自由とはほんとに高くつくものですね。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2025年7月号です。



           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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