MadameWatson
マダム・ワトソン My Style Bed room Wear Interior Others Risacolumn
News
HOME | 美しいテーブルウェア | 上質なベッドリネン&羽毛ふとん | インテリア、施工例 | スタイリッシュバス  | Y's for living
リサコラム
連載814回
      本日のオードブル

2CVと過ごした夜

第2話
「ものごとには順序がある」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





ルー
グリーン
の2CVを
林道に停めて
しばし眺める
光輝くボディは
ワックス掛けの賜物
40年物と笑うなかれ
ここに至るには様々な
順序を踏んで来たのだから。



 



第2話「ものごとには順序がある」


 

 「ものごとには順序がある」それは誰も疑わない事実だとわかって

いる。しかし、私が40年前のフランス車に乗っていると知ると、

初対面の人でさえ、私の趣味趣向、そしてこれまでの人生のいろい

ろさえ、わかったような表情をする。そして、9割以上の確率で同

じ質問がやってくる。「壊れないですか?」これなのだ。


            


 
当たり前と言えば当たり前のことだが、40年も経てば、たいてい

の機械ものは壊れる。家だってリフォームが必要になるだろう。なの

に、40年経った車の修理が要らないと思う方がおかしい。しかし、

質問者の意図はまだ別のところにある。それは、新車でさえ、フラン

ス車=壊れるが普遍の法則であるように思っているところなのだ。

そんな人たちはフランス車なんて、あたまから壊れると思っているの

だから、40年も経ったフランス車に乗っているなんて、マニアック

を通り過ぎて、変人だと決めつける。


            


 だから私はビジネスの相手に対して決して車の話をしない。車を見

られたくないから、どうしても車で行かなくてはならない場合は、

レンタカーを借りる。私の相棒を奇異な目で見られるくらいなら、

レンタカーで行った方がはるかにストレスが少ない。ただ、雑談の

中で、レトロカーや万が一、フランスの話題でも出てくれば、私は

そうっと探りを入れる。こんな感じで。


            


 
「フランス車は新車も相変わらず壊れるんですかね?」と。

「そりゃ、そうでしょ、ははは、フランス車なんですから」と相手が

言えば、「ははは、そうですね」と言って話題を変える。「最近はそ

うでもないですよ」なんて言われたら、

「乗られたことあるんですか?」とか、

「どんな車がお好きですか?」とさらに質問する。

「いや、シトロエンDS持ってましてね」なんてことになれば、

私は天にも昇る気分で、「私は90年式の2CVです」と続ける。

しかし、こんなことは今まで一度もないのだ。


            


 
そもそも、ドイツ車に乗っている人に「なんでドイツ車なんです

か?」という絶対しないような質問が、フランス車の持ち主には

「なんで、フランス車なんですか?」と当たり前のごとく投げかけ

られる。そこには「フランス車=壊れる」という都市伝説のような

もの以外の何かがあると思う。


            


 きっと2CVなんていうフランスのレトロカーを乗り回している人間

ならわかっているはずだ。なぜなら、2CVのオーナーに対する先入

観、変わり者で、ひねくれもので、かっこつけ、この似て非なる3

つの言葉のどれにも当てはまらないと私は断言できる。それは、

すぐに壊れるようなものを大事に維持しながら、私財を投じるこ

とは、単に変わり者で、ひねくれものでかっこつけにはできないか

らだ。まあ、負け惜しみと取られればそれでもいい。しかし、私が

そんなマイナスなイメージを持たれてもなお、レトロカーという相棒

を持つに至ったかと言えば、それは、フランス、いわば、フランス的

なセンスに白旗を挙げたからなのだ。


             


 私は学生の時、自分の将来像がまるで見えなかった。将来に夢など

持てるとも思わなかった。私の友人にはあの教授の下で研究したいか

らなんていう具体的な目標がすでにできている殊勝な人間も確かにい

た。しかし、私のような人間の方がはるかに多数派で、そんな中で私

がフランス文学を選ぼうなんていう理由はごくつまらないものだった。


            


 
それは、何を隠そう、男性のフランス文学者は女性にモテモテだと

聞いたからだった。高校生の頭ではその理由がわからなかったが、

そう言うなら、そうなのだろうと信じて疑わず、若気の至りでフラン

ス文学なるものに踏み込むことになったのだ。しかし、実際には、

フランス文学者などほんのひと握りの人間にしか門戸が開かれていな

いことが分かった。まずは仕事にありつけなくても、十分食べていけ

る余裕のある家の子息であること、そして、フランス文学を読み込む

ためのフランス語いう高いハードルを越える意志があるということ

だった。


            


 
私は非常に甘かった。それは、フランス語はかなり真剣に丸暗記

しなくては習得できない複雑な文法を持つ言葉であることがわかった

からだった。さらに決定的な事実は、フランス語が話せないフランス

文学部の学生なんて、女子は誰も相手にしないということだった。

当然と言えば当然なのか、少々髪の毛が薄かろうが、腹が出ていよう

が、フランス語ペラペラの先生や、さらにはネイティブスピーカーた

ちに敵うわけがないのだから。そこから私の挫折は始まったのだ。


            


 
それは単に女子にもてないというだけではない。フランス語という

言葉、そしてセンスという高い塀に挑戦を挑む前に敢えなく尻込みし

たということなのだ。


            


 「ものごとには順序がある」。この言葉を私はその時、痛いほど感

じた。結果だけでものごとを見るなかれ、そこに至る人間たちには、

そこに至るための手順を踏んできているのだと思った。


            


 
私はここで「ものごとには順序がある」という定理に加えて、

フランス語の「セ・ラ・ヴィ」という言葉を引き合いに出そうと思

う。セ・ラ・ヴィ、そう、「人生とはそんなものだ」、という、大人

の奥深い諦念のため息だ。つまり、私が2CVを手に入れたというこ

とも、ものごとにも順序があり、そして、セ・ラ・ヴィなのだ。


            


 
私は大学3年生で斜め方向に向きを変えた。そして、30年後、

この愛おしい相棒2CVに出会ったのだ



   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1
 
シトロエン2CVのオーナーの挫折感、
わかりますね~フランス語女子としては。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2022年5月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
    お申込はこちら→「Contact Us」                                     

                                       * PAGE TOP *
Shop Information Privacy Policy Contact Us Copyright 2006 Madame MATSON All Rights Reserved.