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リサコラム
連載833回
      本日のオードブル

窓をめぐる
ショートショート

第6話

「踊る人形の窓辺」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。



美しいものには
何かが隠されている
そんなセリフを思い出す
美しく磨き上げられたキッチン
青々と美しい芝生の庭、
そして越して来た
美しい隣人
さて
謎解きの
ゲームが
幾重にも
重なった
50年の
ミステリーがこれから
ひも解かれるのかもしれませんね。



 



第6話
「踊る人形の窓辺」




 
「今日はいいお天気で、小春日和になるようです。私のキッチンの

窓からは朝の清々しい光がいっぱいに差し込んできて、磨き上げたば

かりのホウロウの白いシンクがまばゆいほどに光り輝いています。

そして格子窓からは初々しい葉緑素をたっぷり湛えた緑の芝生が広

がっています。私は今日のこの朝を驚きと歓喜を持って待ち望んで

いました。しかもこんなふうに来るとはもちろん、神様だって想像

していなかったはずです。


            


 もうご存じのように私はこの家でティーサロンを開いています。

そしてテレビでも月に3回、私の講座が放映されています。もしか

したらご存じだったのかも?まだそこのところは不確かですが、

いずれわかることでしょう。


            


 私は職業的にはお料理の先生になりました。そして今では「最も

予約の取りにくいティーサロン」と言われるばかりになりました。

もちろん始めたばかりの頃は生徒が1人も集まらず、苦悩の連続で

した。しかし、努力はいつか報われるものですね。これまで国内外

のホテルやレストランで下働きからずっと修行を重ねてきた私の

料理、お菓子、そしてテーブルのセンスやっと認められることにな

りました。30年かかりました。


            


 私は子供の頃、美しい芝生の庭で愛らしい女の子や男の子が子犬

と戯れる様子をデッキチェアから日傘をさして眺めている、そんな

おばあちゃんになろうと思っていたのです。しかし、人生というも

のはそう予定通りにはゆかないもので、愛らしい孫どころか、私に

は娘も息子もおりません。未だ独身なのです。友人や知人にはすで

にリタイアし、そんな穏やかな時間を満喫している者たちもおりま

すが、だからといってうらやましいとは思いません。私は学校を出

てから50年余りの人生を仕事に捧げてきましたから。


            


 しかし、本当に良い時代になりましたね。SNSという最強のツー

ルができたおかげで私が身につけたスキルも無駄にならずに済みま

した。料理やテーブルの写真やビデオを配信することで多くのフォ

ロワー、そして生徒を集めることが出来るようになったのですか

ら。そして、自慢ではありませんが、このティーサロンは普通の

サロンとはちょっと違っています。ご存じのはずだと思いますが、

私のティーサロンには謎かけがあり謎解きがあるのです。その謎が

どこに潜んでいるのか、そしてその謎がどういう謎なのか、それを

探し出すのが目的の半分なのですから。料理、テーブルセッテイン

グ、推理、ユーモアのすべてを楽しめるの『ミステリアスティー

サロン』なのです。


            


 そして、あの衝撃の日曜日以来、これまで私が歩んだ日々、もう

歴史と言ってもいいと思いますが、ずっとずっと思い返しています。

始まりは高校2年生の時でした。課外授業で『ミステリークラブ』

なるものを立ち上げたことからです。部員はそれぞれが新しい推理

トリックなどを考えてそのクラブで発表するというものでした。し

かしその頃はもちろん今とまるで違って個人のパソコンも、インタ

ーネットもない時代でしたからほんとう大変でした。授業中も頭の

中は新しいトリックのことばかり…でも、思い返せば、ほんとうに

楽しい思い出ばかりです。


            


 本題に入りますが、このメッセージを送るきっかけとなったの

は、今日のように晴れて気持ちいい先週の日曜日でした。ずっと

空き家になっていたお隣のお家がやっとリフォームされ、そして

新しい住人の方が越してこられた1,2週間後のことでした。美

しく若い女性の方が私の家のチャイムを鳴らされたのです。その方

はまさにお隣に越して来られた方だったのです。


            


 私はキッチンで洗い物をしていましたので、「もしよろしければ

お勝手口の方から入ってくださいませ」と申しますと、その方はす

ぐにお勝手口のドアベルを鳴らされました。そして私は彼女をキッ

チンの小さなテーブルに招き入れ、お話を伺いました。


            


 お名前を伺ったとき、私は遥か昔に聞いたその名前が突然、様々

な思いを芋づる式に引き出したのです。あの高校生のミステリーク

ラブで一緒にトリックを考えたあなたのお名前と同じだったからで

す。


            


 鳥海(とりかい)さん、覚えています。あなたはミステリークラブ

の自己紹介で、こうおっしゃったのです。「なんとなく、とりかいと

トリックが似ている発音だからこのクラブに入ろうと思いました。別

に推理小説が好きなわけではないのですが、ただ、人をユーモラスに

けむに巻くのが好きなのです」と。印象的な自己紹介でした。その

後、私たちは週1回の推理クラブではもの足らず、ほぼ、毎日集ま

っては自分が考え出した新しいトリックをみんなの前で披露しまし

たね。しかし、当時でさえトリックは世界中の推理作家によって出

尽くした感がありました。だから、ほぼ、毎日、勉強そっちのけに

なりました。(笑)


            


 さらに、お隣の彼女が私に見せた紙切れで私は雷に打たれたよう

な衝撃を感じました。今だからこそ、こんな古典的なトリックが斬

新なのですね!そこには、不思議な絵が描かれていたのです。それ

は子供が描いたような単純な人形の絵でそれがいくつもつながって

いました。私はもちろんすぐにわかりました。それは古典と言える

シャーロック・ホームズの中の有名な『踊る人形』の暗号なので

すから。


            


 彼女は「父のデスクにこんなものが置いてあったんです。

しかし、父は昨日から出張でおりません。気味が悪いから持って

きました」とおっしゃったのです。そして、さらに「あなたがミス

テリアスティーサロンというものを開かれているということをネッ

トで見つけて知ったのです。そしたらなんとお隣の家だったので、

何のことなのかわかるかもしれないと、飛んできました」と。


            


 あなたの踊る人形の暗号に対する私の答えはもちろん「イエス」

です。しかし、その返事をお嬢さんにどう伝えようかと思案しまし

た。さらに、あふるばかりの思いをどのようにしてあなたにお伝えし

ようかと悩みました。ほぼ、5秒ほどですが。(笑)そこでお嬢さ

んが持って来られた踊る人形の暗号に書き加えて、あなたが読み込

んでいただける仕掛けを作りました。そしてお嬢さんには「これは、

古典的な推理小説のトリックで別に不吉なものではありませんから

安心ください」と伝えた後で、「また、お父様のデスクの上に置

いておいてください」と伝えました。


            


 私はこのメッセージが無事、暗号解読によって開けることを願って

おります。もし、そうであれば、出張からお帰りになられた週の土曜

日の午後2時、そう、あと数時間後、私の玄関のチャイムが鳴らされ

ることでしょう。


            



 それでは、プライベートなミステリアスパーティーでお待ち申し

上げております。ただ、持ちよりトリックは不要です。半世紀の物

語はミステリードラマ以上のものでしょうから、それをじっくり語

り合いたいと思っております。




   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

「踊る人形」の暗号解読の手がかりは
旗を持っている人形が定期的に現れることでした。
そこが文章の切れ目で、さらに、最も多い人形の形が
英語の「e]です。単語の中で頻度が最も多いと言われる
ものです。今では古典中の古典です。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2022年10月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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