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リサコラム
連載836回
      本日のオードブル

私とフランス語と
インテリア

第2回

「枯葉とシャンソン」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





片思いを
続けていた昔から
やっと両想いになりました。
マロニエの枯葉散る
坂道を
今日も
明日も
息を切らして登る
フランコフォン、
がんばれ!


 



第2回
「枯葉とシャンソン




 
シャンソンと言えばイヴ・モンタンの「枯葉」、エッデイット・

ピアフの「バラ色の人生」と言えばシャンソン。朗々とロマンスを

歌い上げる大歌手の歌声がフランスの歌の代表のように思われてい

た時代からあまり変わっていないような気がします。



            


 そんなロマンティックな憧れの国フランスでは、今、日本のアニ

メばかり放送されるそうで、おかげでフランス人が日本に憧れを持

っているそうです。ようやく、相思相愛の関係になったようです。


 私の知っているフランス人の男性は、5年前、日本のアニメに惹か

れて来日したそうですが、彼は、「はなよりだんごが大好きで、日本

に来ました」と、流暢な日本語で「はなよりだんご」を発音したので

す。ちょっと前に流行っていたという『花より男子』というアニメを

私は恥ずかしながら見たことがなかったため、とっさに、3色の串刺

しの団子と花見のシーンが頭に浮かびました。


            


 その彼はよく、「日本とフランスはどちらがいいか」とよく聞かれ

るそうですが、「どちらとも言えない」と答えると言っていました。

もしかしたら、日本のアニメの世界=日本の現実だと思って来日した

ものの、実際の日本を見てイメージが壊れたのかもしれない、それは

私が学生の頃、シャンソンと言えば「枯葉」のように、フランスの歌

はみんなロマンティックで、イコール、フランスはロマンスの国とい

う思い込みを持っていたのと近いのかもしれないなと思いました。


            


 大学1年生の時、ChansonCHANSONと大文字で書かれる時以

外は、シャンソンとは単なる歌、英語で言えばソングしか意味しない

と知ってまず、ショックを受けました。ネットのない時代のことで、

フランスに対する情報も少なく、それくらいのイメージしかなかっ

たのです。その後、学校の授業やアテネ・フランセの授業などを受け

るにつれ、フランスに対するイメージはかなり変わりました。


            


 ある日本人のフランス語の先生はソルボンヌに留学したばかりの

時、「下校する幼稚園生が門の外に出た途端に、ぷか~とタバコを

ふかす様子を見てまずショックを受けました」と言われた時、私も

強烈なカルチャーショックを受けました。そう言えば、フランス語

の初級のテキストには子供たちも一緒にワインを飲みながらお昼ご

飯を食べる下りもありました。フランスでは小学生でさえ成績が悪

ければ落第させられ、勉強嫌いな人間は職業訓練の道に行くしかな

い一方、優等生は飛び級があり優遇されるとか、そんな話にも驚き

ました。また、大統領は最高レベルの教育を受けた人だけしかなれ

ず、アメリカのレーガン元大統領のように俳優が大統領になった

り、日本でいえば、田中角栄のように小学校しか出ていない人が総

理大臣になったりということはあり得ないと、そのようなことも知

り、自由の国、ロマンスの国、女性の地位が高い国というイメージ

から、当時はまだ徴兵制度も存在していた社会主義的な色彩の強い

国で、フランスは甘口ではない、かなり辛口の国なのだというイメ

ージに変わりました。


            


 日本には2000年まで在日外国人に対する指紋押捺制度があり

ましたが、私が大学3年生の時、フランスの学校制度を含めた法

律を教えるフランス人の先生のゼミでこんなことがありました。


 その先生は、確かにフランスは学歴社会で、徴兵制があるけれ

ど、日本では指紋押捺したものをパスポートと一緒に持ち歩かなけ

ればならない。もし、職務質問をされたとき、不携帯だと逮捕され

るのだと、その先生は実際に自分押捺させられた指紋を学生に見せ

ながら外国人に対する不当な扱いにかなりの怒りを交えて、抗議の

意を表されました。その先生は、グランドゼコールを出た貴族の出

身だとかそんな噂もありましたが、その時初めて、在日外国人はそ

のように扱われていることを知たったと同時に、学校からアウトロ

ーした人間であろうと大学の教授だろうと一括りにする日本は学歴

社会とはいえ、平等な部分もあり、フランスの学歴社会とはかなり

違うと認識しました。そんなことがあっても、フランス語を習いた

ての学生としては、言葉自体の難しさ、文法の難しさに四苦八苦し

ている毎日で、フランスに対するそれ以上の関心を抱く余裕はあり

ませんでした。


            


 そんな状況で、帰国子女は除いて、大半の学生はフランス語をなか

なか好きにはなれず、就職先がないから英語学科に転入しようかと

か、教職を目指す人は、英語の先生ばかりでフランス語の授業はい

やいや出ていた人もいたようでした。


            


 
英語もしっかり習得してはいないのに英語が第二外国語になり、

フランス語が第一外国語になるという矛盾を含んだ転換に私も含め

学生は焦りやプレッシャーを感じる日々だったと思います。そんな

“就職に役に立たないフランス語“を趣味でもいいからずっと続けて

勉強したいと思うようになったのが、まさに、アテネ・フランセ

だったのです。



            


 簡単に言えば、学校の授業とは比べ物にならないほど、アテネ・

フランセの授業と友人関係が楽しかったのです。まず、いろんな大学

から集まっている学生と交流ができるとこと、その中には教養学部が

御茶ノ水から近いという理由で東大の学生もかなりいました。彼らは

なぜか理系なのに、当然、第二外国語なのに、なぜ、わざわざフラン

ス語の専門学校に通ってまで勉強しようとするのか?その意欲のすご

さを見せつけられた思いでした。そしてさらにサラリーマンや学校の

先生など仕事が終わった後にやって来られる人たちが約3分の1いまし

た。年齢は30代から50代、60代まで。彼らからたくさん学んだ

と思います。


            


 まず、専門外の仕事をしながら、仕事の後に語学学校に通って来る

ということはどんな気持ちからなのだろうと思いました。専門学校で

すから、当然、進級試験もあり、順当にゆけば約3年位で卒業となり

なりますが、その間の授業料は安くはありません。週三回、各2時間

の授業で大学の授業料の約半分必要です。私は小学生から中学生まで

最も多い時で7人の家庭教師のアルバイトをしながら授業料に当て

ていました。


            


 シャンソン=枯葉=ロマンティック&ハイセンス=フランス、この

固定観念がまさに枯葉のようにはらはらと散ったあとに、フランス語

がさらに好きになった理由がアテネ・フランセの辛辣で優秀なフラン

ス人の先生たちと、学生と一緒に机を並べる社会人の人たちのフラン

ス語、フランスに対する大いなる熱意があったのです。


            


 その時、自分はまだ自由な時間のある学生なのに、仕事を持って

いるおじさん、おばさんたちに負けられないと強く思ったのです。



   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

 アテネ・フランセ、今もずっと行きたいです。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2022年11月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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