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リサコラム
連載837回
      本日のオードブル

私とフランス語と
インテリア

第3回

「アテネ・フランセ

カフェ」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





落ち
葉と
カフェ
陽射し温かな
テラス席がいいでね
パリ、落ち葉、カフェ
これからもずっと続くのでしょう。


 



第3回
「アテネ・フランセ・カフェ




 
「そんな生活~、いやじゃない?」とアテネ・フランセのカフェで

一緒になったAさんが私の顔を見ながら心配そうに言いました。彼女

とは大学1年生の時、大学の同じクラスでしたが、Aさんは夏期講習

1講座だけを受けにアテネ・フランセにやって来たとのことでした。


            


 「そんな生活~、いやじゃない?」には心から哀れみの気持ちが

込められていたようでしたが、19歳の私には全くぴんと来ません

でした。そのアテネ・フランセのカフェとは地下にあり、しかし、

高台に建っているため、斜めに切れた大きな窓からいつも日差しが

さんさんと差し込んで明るく、冬はぽかぽかと温かく、夏はエアコン

が効いていて涼しく、夏休みは学生でいっぱいでした。


            


 そのカフェには1辺が2mほどもあるどっしりとした四角いテーブ

ルとベンチがいくつか並んでいましたが、そのテーブルの周りには

学生、先生たちが分け隔てなく混在していて、おしゃべリをした

り、コーヒーを飲んだり、サンドイッチを食べたりしながら、

授業の予習や勉強をしたりする学生もたくさんいました。東京の

お茶の水なのに、常にフランス語が飛び交う、まさにフランスの

カフェそのもののような異空間でした。


            


 私はそのカフェが気に入ってしまい、そのカフェに居たくて、

1年生の夏休みは夏季講習で集中的に授業を受けることにしまし

た。だから日曜日以外、毎日通っていたのです。私はAさんに、

「朝、掃除、洗濯をして、ここに来てお昼ご飯を食べて授業を受

けて、夕方まで勉強して、夜の授業を受けて、帰り道にパスタ屋

さんで晩ご飯を食べて下宿に帰るのが日課です」と話したので

す。それに対してAさんが言った言葉が、「そんな生活~、

いやじゃない?」だったのです。


            


 Aさんの家は南青山辺りの高級住宅地にあり、そこから埼玉県

草加市の大学に通学していたわけですが、田舎の学校に通うのも

本意ではなかったようでした。当時は、学生は遊ぶためにバイト

するもので、社会に出る前のモラトリアム期間であり、真面目に

勉強するということはダサイという感覚もがありましたので、

きっとAさんは夏休みなのに遊びもせず、朝から晩まで進学塾の

ような学校と下宿の往復、夜は家庭教師という寂しい生活を送っ

ていることがかわいそうと思ったのだろうと思います。その後、

A
さんとはアテネ・フランセで会うこともなくなりました。


            


 そんな専門学校でフランス語を勉強する学生は、特に男子学生は

どんな学生かと言うと、小さなころからピアノを習っていた人が多

かったせいもあったと思いますが、音楽の話になると、ポップスで

はなく、常にクラシックでした。そして真面目なお坊ちゃま的な人

が多かったように思います。フランス語を教える日本人の男性の先

生もやはりかなり変わっていた印象があります。


            


 ある時、アテネ・フランセの授業の帰り、社会人一人と5、6人

の学生で、普段は入らないような白いテーブルクロスが掛けられた

レストランに行ったことがありました。みんなパスタかメインディ

ッシュを1皿とライスかパンを注文するのがお財布の許すぎりぎり

でしたが、中にひとり、東大生のB君はオードブルからスープ、サ

ラダ、メインディッシュ、デザートまで、ひとりで何皿も注文した

のです。つまり、B君がデザートを食べ、最後のコーヒーを飲み終

わるまで、他の学生は自分の前の空のテーブルで水だけを飲みなが

ら、美味しそうに食べ続けるB君のことは気にしていないふりをし

ながら話しをする羽目になりました。目撃情報によれば、B君の財

布には1万円札が10枚束になったものがいくつか入っていたそう

です。私が10枚束の1万円札をカウンターにポンと出される光景

を見たのは、もちろん、仕事を始めてからです。だから、学生の身

分ではとうてい信じ難い話でした。しかし、B君にはそれを見せび

らかす気持ちはなく、いつも通りの普通な感じで食事をしただけの

ようでした。


            


 B君は函館ラ・サールから東大にストレートで入学したそうです

が、彼が言うには、ラ・サールは全寮制のため、教室にはガウンの

まま降りてきて、そのまま授業を受けてもよかったと話をしていま

した。



            


 「ガウンで?」私はびっくりしました。その当時はフリースのよ

うな安価な冬の防寒羽織ものがなかったため、ガウンと言えばウー

ルのガウンで、当然、カシミヤの入ったようなガウンを意味してい

ました。未だにバスローブと並んでラグジュアリーな生活の代表の

ようなものを高校生たちが着て、授業を受ける光景を想像して、違

う世界に感じました。しかも理系のB君はフランス語が第2外国語

でありながら、第3外国語となるイタリア語まで勉強していたので

す。彼が言うには、イタリア語はフランス語に似ているし、フランス

語より発音が簡単だから勉強しやすいと言ったのです。きっとB君は

ずっと勉学に打ち込んで来た純真な気持ちのまま、新しいことを勉強

したり、新しい言葉を学んだりしていただけで、そこに苦しさはな

く、さらに豊かな仕送りが学生生活を楽しくしていたのだろうと思

います。


            


 英語も大したことないくせに、フランス語を覚えようとすると

受験勉強で一所懸命に覚えた英単語も文法も忘れてしまわないか

という変な心配をしていた外国語学部の私はその時、自分の思い込

みの間違いに気づきました。そして、小学5年生から通い始めた

旺文社のLL教室の先生のことを思い出していました。


            


 LL教室で教えていた先生はとてもきれいな女子大の大学院に通

う学生でした。先生は大学で英語以外、フランス語とかドイツ語

とかスペイン語とか勉強しているから、「頭の中がぐちゃぐちゃ

になってるのよ」と言われました。


            


 もしも、頭の中がぐちゃぐちゃになるのが怖くて、まずは英語

をマスターするまでと思っていたら、到底、フランス語を勉強で

きないし、イタリア語なんて、死ぬまで無理だと思いました。

私は社会人のおじさん、おばさんたちにも、理系のB君にも負け

られないと思いました。


            


 そして、大学2年生から、第3外国語となるスペイン語に

挑戦したのです



   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

 アテネ・フランセ、カフェ、きっと今も心地よい
空間でしょうね。懐かしい思い出がいっぱいです。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2022年11月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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