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リサコラム
連載839回
      本日のオードブル

私とフランス語と
インテリア

第5回

「ボンジュール、
フランス!」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




パリの
ホテルで
インテリアを学ぶ
壁紙、カーテン、家具
ベッドリネン
でも
私のベッドルームも
お客様のベッドルームも
全然負けていないわよ
そう言えるように
がんばって
います

 



第5回
「ボンジュール、フランス!」




 
「フランス語はしゃべれるのか?ボンジュールだけじゃいかんとぞ!」


            


 以前、のべ19年間一緒に働いていたスタッフのKが「パリに行く」

とお父さんに報告した時、帰ってきた言葉がこれだったそうです。


            


 そのK46日のひとり旅を終えて帰って来た第一声が、

「フランスに行ったつもりが韓国に行ってきました」でした。


            


 「え?どういうこと?」私はその意味不明な言葉にあっけにとられ

ました。「だから、フランスに行ったつもりが韓国に行ってしまった

んですよ!」「そんなバカな!」まさか飛行機を乗り間違えるなんて

事はありえないから、一体どういうことだろと聞いてみると、事情は

こうでした。


            


 福岡空港から韓国で乗り継ぎ、パリに飛び、シャルル・ド・ゴール

空港に降り立ったところまではよかったけれど、右も左もわからず、

時間も午後8時を回っているし、一体、どうやってホテルに行ったら

いいのかと右往左往していたところに、日本人のような雰囲気の男性

が声をかけてきたそうなのです。彼は日本人ではなく韓国人で、英語

と片言の日本語を交えながらKに話しかけ、そして自分は今、パリ

に住んでいて、韓国から帰国したばかりだから、一緒に自分の家に

来たらいいよ、という展開になったそうなのです。


            


 私にはとても考えられない話でした。知らない人の家に泊まる、

しかも初めて行った外国で、そんな危険な行動さえとってしまうく

らい、Kは途方に暮れていたのだろうと思いました。韓国人の彼は

パリ大学で教鞭をとっていると言ったそうですが、結局、

Kは彼のそう広くはないパリのアパルトマンの部屋で四日間寝泊ま

りをしたと言うことです。その間にパリ見物にも連れて行ってもら

ったとのことですが、韓国人の彼がとても親切な人だったからよか

ったようなものの、あまりお勧めできる行動ではないと思います。


            


 まず、Kがパリにひとり旅をすることになったのも、友人と

「ひとりでパリに行けるか、行けないか」というかけをやっていて、

勢いで「ひとりで行けるさ!」となったそうなのです。しかし、おそ

らくとても心細かったはずです。現地でKはお父さんの言葉が身に染

みてわかったと言いました。今ではアメリカ人や日本人観光客のおか

げですっかりパリジャン、パリジェンヌも英語化されていて、ホテル

やカフェ、ショップでは英語が公用語のように使われていますが、そ

の当時は人に道を尋ねてもあまり英語は通じなかったのでしょう。さ

らに20年前はスマホがあるわけでもなく、公衆電話があってもかけ方

がわからず、その前に電話で相手としゃべれず、空港で両替をするに

も両替所が閉まっているなどなどもあったようです。


            


 旅の恥じはかき捨てかもしれませんが、海外の旅先で何事もなく

スムーズにいく事はまずありえませんし、まずは、空港から無事、

ホテルにたどり着けたら御の字で、スマホがある今でも、予約した

ホテルへの行き方がわからない人がシャルル・ド・ゴール空港には

たくさんいます。それに地下鉄にはスリも多く、当然、夜の暗い場

所の一人歩きは大変危険ですし、もしもトラブルに巻き込まれたら

どうしようと、言葉がわからないとなおさら心細くなってしまいま

す。それなら添乗員同行のようなツアーで観光地を巡るほうがよほ

ど効率よく回ることができます。それでも何とか自分の足で歩いて

みたい、自分のできる限りのコミュニケーションを現地の言葉でや

りたいと思う時、やはりその国の言葉を学んでから行くしかありま

せん。


            


 「なるほど、こんな風にしゃべればいいのか」とか、「こんな言い

方をよくするんだ」とか、あるいは、日本で学んだ言葉が現地の人た

ちに通じたときの喜びは何物にも変えがたいものがあります。そんな

時、ああ、フランス語をやっていてよかったと思います。それに、

フランスに行ったら英語ではなく、フランス語で会話をしたいなと

私は思います。そのためには、「日常会話ぐらいマスターすれば」

とよく言いますが、現実には、日常会話こそが最も難しい言葉だと

思います。書いてある文章は勉強すればゆっくりなら読めるように

なりますが、コミュニケーションは全く別物だと思います。わかる

まで何度も何度も聞き返せる図々しさがあれば別ですが、そうも言

えない状況も多いです。特にフランス人はおしゃべりで、早口です。

ついていくのがやっとで、一体どこからわからなくなってしまった

のかと前の部分を考えていたらもう置いてきぼりになってしまいま

す。外国語に対してコンプレックスを抱いてしまうのは、ここだろ

うと思います。できないのは当たり前なんだとか、恥をかかなけれ

ば上達しないと言われても、それでも相手をしらけさせるような恥

をかきたくないという思いはみんな同じです。


            


 その上、フランス語を含め、ヨーロッパの言語は女性名詞と男性

名詞があり、パンが男性名詞で、パンの1種のバゲットが女性名詞

です。それはひとつひとつ覚えるしかありませんが、女性名詞か、

男性名詞かと考えていたらしゃべれません。動詞の活用に関しては

活用帳が欠かせなく、自分の言いたいことを伝えるには、無視でき

ません。そこで、ここは半過去なのか、複合過去か、仮定だから条

件法で、否定分で始まる文章の後は、直説法ではなく、接続法にな

るのか?とか、いやいや、先生は接続法を使ったら、「そこにわざ

わざ接続法なんて…」と嫌味な顔をしていた時があったなとか、

そんなあれこれを考え始めると、一言も出てこなくなってしまいま

す。


            


 さらに母音の多さ、文字通りには読めないつづり字、妙な発音

(笑)、やたらと多いアクセント記号、このきつい、苦しいフランス

語の学習を支えるのは、逆にこの面倒なフランス語の文法なのではな

いかと思います。日本語は一昔より簡略化されてきているように感じ

ますが、21世紀になってもアクセント記号が簡略化されず、未だに

カフェで小さな文字がいっぱいの新聞を読む人たち。新しい名詞が

輸入されたら、女性名詞なのか男性名詞なのかで議論が交わされ、

それが延々と続くこともある国語なのです。


            


 大学生の頃のことですが、日本人の先生がフランスに留学していた

ときに1つの単語の名詞化女性名詞か男性名詞家をめぐって新聞で議

論が戦わされていたのに、それから10年ほど経って行った時には

やはり同じ単語が議論されていたとのこと。そこまで言葉に対する

こだわりを見せつけられると、そうか、それなら、克服してみたい

という気持ちにもなります。だから、フランステレビ局のニュース

は一部しかわからなくても我慢して、辛抱強く、聞き続けていま

す。英語で書かれているフランスのインテリアのサイトもわざわざ

フランス語に自動翻訳してフランス語で読んでみたり…(笑)


             


 しかも、「おフランス」などと言われ、芸術、インテリア、ファ

ッションなどいろいろな分野で一目おかれるそのセンス、色彩感覚

はパリ含め、フランスの美しい街並みが表しているのか、あるいは

よく言われるように、フランス人が持って生まれた感性の違いなの

か?今は、インテリアセンスでは日本はどうしても負けを認めざる

を得ない気がしますがが、ずっと負け続けるわけにはいかないと思

っています



   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

 「ボンジュールだけじゃ、いかんとぞ!」は
博多弁ですが、
「ボンジュールだけでじゃ、うまくいかないぞ」より
意味深です。そこらへん、おわかりでしょうか?


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2022年11月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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