MadameWatson
マダム・ワトソン My Style Bed room Wear Interior Others Risacolumn
News
HOME | 美しいテーブルウェア | 上質なベッドリネン&羽毛ふとん | インテリア、施工例 | スタイリッシュバス  | Y's for living
リサコラム
連載848回
      本日のオードブル

私とフランス語と
インテリア

第14回

「癒し」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




白い
天蓋ベッド
その後ろの壁は
ヤシの木の葉の
ようなグレーの壁紙
他にはたくさんの枕が並ぶベッド
左右に白いナイトテーブルとランプ
一人掛けアームチエア
赤いブーケの花束と
本が一冊あるだけ。
ここはリゾートか?
それとも?





 



第14回
「癒し」




 ここ最近10年以内で、アジアを中心としたどちらかと言うと辺鄙

な場所から一気に世界中の都市部へと飛び火した感のあるハイエンド

なリゾート、アマンリゾートですが、日本ではアマン東京、伊勢志摩の

アマネムについで3軒目となる古都、京都ができました。


            


 アマンリゾートは1987年にタイ、プーケット島のエイドリアン

・ゼッカー氏の別荘の予定が方針転換をしてホテルとなった、アマン

プリから始まり、インドネシア、バリ島のアマンキラ、そして同じく

バリ島のジャングルに覆われたウブドにあるアマンダリ、ヌサデゥア

にあるアマヌサへと次々にリゾートを広げて行きました。


            


 アジアンリゾートのアマンはどこも、木質系の簡素なバンガロー形

式の室内です。オープンエアにもなる広々としたベッドルームは白い

ベッドリネンでシンプルにメイキングされ、時計もテレビもない非日

常の空間演出が特徴です。


            


 そんなミニマムなインテリアの部屋の宿泊費はどんどん上がって、

今は一泊15万円前後です。おそらく4,5泊分で十分同じような

部屋ができるのではと思うほど、シンプルな家具、ベッドで構成され

たシンプルなインテリアです。しかし、そのハイエンドな部屋に行き

着くにはかなりの長い道のりがあります。


            


 アジアンビーチですからさほど遠くないとは言え、バリ島のアマン

キラは空港から片道、車で約2時間半かかります。そこまでの時間と

費用を費やしてまで人を惹きつけるものは、そして人が求めるものは

何だろうと考える時、浮かんでくるキーワードが、「癒し」ではない

かと思います。おそらく多くの方が賛同されると思います。実質は宿

泊費15万円+3食にマッサージやトリートメント等々を受けるとす

ると1泊で25万円位にもなるでしょう。「癒し」はそれほどまでに

高額なものもあります。しかし、買う人々がいるから存在理由がある

のです。


            


 近所の美容室でも得られる癒しと地球の裏側まで行かないと得られ

ない癒しもあります。この、やや、手垢のついた感じもする「癒し」

を私も今までいとも簡単に多用してきたと思います。癒しのベッドル

ーム、癒しの空間、癒しの○○と。しかし、癒しの正体は一体何なの

だろうかと、私はずっと考え続けてきました。


            


 私はE-bookでも述べていることですが、癒しのリゾートは遠距離恋

愛と似ているという持論を持っています。つまり、遠ければ遠いほ

ど、すぐに行けないリゾートという彼、彼女は、画像や映像の中で

とてもいとおしく美しく魅力的に見えるのだろうということです。

だから、仕事、子育て、家族の世話、介護などで忙しい日々を送る、

疲れ切っている人にはさらに遠距離恋愛の相手が美しく映るはずです。


            


 そこに行きさえすれば、ジャスミンの花束を手に、やさしい笑顔で

出迎えてくれ、至れり尽くせりのおもてなしで世話をしてくれる愛お

しい人がいる…その癒しのリゾートまでの道のりが遠いほど、そして

高額であればあるほどに、人はそこで受けたサービスやトリートメン

トやそしてその空間に対して支払った額がそれだけのことがあると思

いたくなるのだと思います。


            


 アマンリゾートのことを書いた本で読んだ逸話があります。ある

ゲストがマッサージをしてくれたマッサージ師を大変気に入ってし

まい、朝から晩まで18時間のトリートメントを11日間連続で受

けたそうです。そのゲストはさぞかし夢心地のリゾートの日々を過

ごして、すっきり癒されたでしょう。では、そのマッサージ師はど

うなったのだろうと私は思いました。ゲストとは正反対に疲労困

憊して、その人自身がマッサージを必要とする位までにくたびれ

たはずです。筋肉痛で体調が悪くなったかもしれません。しかし

それを笑い話にばかりはできないと思いました。


            


 なじみのカフェ、バー、美容室などで相手をしてくれるスタッフ

に対して身の上話や愚痴を滔々と語っている人がいます。心地よい

空間で、舌触りのよい飲み物を飲み、髪の毛をトリートメントして

もらいながら、真摯に話を聞いてくれる相手は心理カウンセラー等

ではないため、辛口のコメントをしたり、指導したりすることも、

特別料金を取ることはありません。ですから、愚痴を言った人はス

トレスを発散してすっきりして店を出ることでしょう。そんな話を

聞きながら、「何十年もお昼ご飯を食べたことがないのよ」と言う

美容師さんがいました。きっとたくさんおられるでしょう。


            



 その時、カフェやバーや美容室のスタッフは発散した人のストレス

を受け取ったはずですから、ストレスは与えた方は軽くなっても、

受け取った方はその分重くなります。当然、また別の人にストレス

を渡してしまいます。そうして、次の人、次の人と、ストレスは形を

変えながら伝達され、なくなることがありません。

つまり、「ストレス保存の法則」がそこに成立するのです。


            


 ある人はため込んだストレスがあまりに大きくなり、時に高額な癒

しを必要とするかもしれません。人の悪口や愚痴を言ってはいけない

というのはそういう意味もあるのではないかと私は思います。

だから、人にそのストレスを与えることなくストレスを発散しようと

すると、スポーツ、趣味などの夢中になれるものが人間には必要なの

だと思います。


            


 私はその夢中になれるものを趣味と実益を兼ねた、家事全般、

特に、掃除、アイロン掛け、ベッドメイクと語学学習にしようと思い

ました。どれも少額の維持費で済みます。さらにアイロン掛けと語学

学習は同時にできます。


            


 毎晩、午後10時過ぎから、クローゼットルームでアイロンにスイ

ッチを入れます。そしてフランス語のCDやラジオ講座を聴きなが

ら、アイロン台に広げたシーツやピロケース、パジャマに霧吹きで

水を補充しては、シュウシュウと音を立てます。間もなく生地はピ

ンとなり、新品のようによみがえるのです。その時、私は達成感の

ような感動を覚えます。


            


 そして、鏡のように伸びたシーツをさらに伸ばして、ベッドを整

え、同じくぴんと伸びてさらさらしたパジャマを着てその2枚の鏡の

間にそっと滑り込むのです。その時のうっとりした気持ち、それこそ

が、癒しの実態ではないかと思っています。


            


 私は癒しが得られる状況をよく花火に例えます。真っ暗な空の中に

華やかに開いた花が閉じていくときのその残像が癒しに似ていると思

うのです。華々しいエネルギーが収束するときにゆっくりと現れる

残像、あるいは、何かの香りを嗅いだ時にふっと思い出した忘れられ

ない素敵な風景のようなもの、それが癒しの姿ではないかと。


            


 だから、癒しは単独ではやって来ることはなく、例えば、香りの

いいバスジェルで汗を洗い流した後、バスローブを着て、ハワイの

バルコニーで日が沈むのを眺めるように、常に感動を伴ってゆっく

りと尾を引いてやってくるのだと思います。


            


 その癒しの正体を知ってから、私はプーケットやバリやハワイまで

行かなくても、自分のクローゼットルームと、ベッドルームで癒しは

毎日でも味わえるようになったのです



   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

 今回のイラストも私のモダンな方のベッドルームに
少しアレンジを加えました。
フランス国旗、トリコロールの配色が好きなので
ピロケースはブルー、ホワイト、ピンクです。



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2023年1月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
    お申込はこちら→「Contact Us」                                     

                                       * PAGE TOP *
Shop Information Privacy Policy Contact Us Copyright 2006 Madame MATSON All Rights Reserved.