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マダム・ワトソン　My Style

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	連載９２２回　　　　　　『Audrey』第１２回「プラザホテルへ」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル＆ラグジュアリーに暮らす」（ダイヤモンド社
紙の本＆電子書籍）（2006年6月）
「Bedroom, My Resort　リゾコのベッドルームガイド」
（電子書籍2014年8月）

道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

２０年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
Ｆ・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。

午前５時前

１台のイエローキャブが

ニューヨークの５番街を

こちらに向かってやってくる、

止まる場所は

かの有名な宝石店

それも１９６１年の

第１２回　「プラザホテルへ」

　「私ってなんてのろまなんだろう！」議長を脱ぎ捨てたオードリー

はそうつぶやくと急いで寝室のウォーク・インクローゼットの引き戸

をさっと引いた。そして中に入ってしばらくごそごそすること、およ

そ、１０分。腕には1着の黒いロングドレスを掛け、片手にエナメル

のハイヒールを持って出てきた。ドレスのハンガーには、長いサテン

の黒い手袋がぶら下がっている。

　　　　　　　　　　　　

　「これさえあれば、ＯＫ！」彼女は満足げにうなずくと、そろそろ

とクリーニングのビニールを外した。「ちょっとシワ、寄っているけ

ど、アイロンで何とかなるかな。これ、最後に着たのは何年前かな

？」彼女はドレスの前、後ろ、裏側と入念にチェックした。見たと

ころ、虫食いやカビは生えていないようだった。

　　　　　　　　　　　　

　「残る問題はと、これが私の体に合っているかどうか、いや私の体が

ってことよね、ふふふふ」と独り言を言いながらくすくす笑い出し

た。「だって、作ったのは２０年以上前だもんなぁ…、まあ、多分、

おそらく、きっと、大丈夫でしょう。無理なら、服を補正するか、

それも無理なら、私の体をなんとかするかよね…」そして、また

クローゼットの中に入って、大きなスーツケースをころがしながら

出てきた。それを横に倒すと、その上に腰かけた。

　　　　　　　　　　　　

　「まずは、ニューヨーク行きのチケットとホテルの予約からし

ましょ！」そう言うと、エプロンのポケットからスマホを取り出

して、早速ネット検索を始めた。「まずは、飛行機。いつがいいか

なぁ～」彼女は画面を入れ替えてスケジュール帳を手繰った。

「う～ん、そうねぇ～最短だと、夏休みしかないわよね…ちょっと

ずらして、9月半ば以降に取ればまだチケットも安いし、きっと空

いてると思うんだけど…ええっと…適当なところでは、9月の最後

の金曜日か…こんな時こそビジネスクラスで行かなくちゃね。だっ

てもう、これから先、いつ行けるかわからないんだから。何ならフ

ァーストでもいいかなぁ～そうよね、ファースト？いいかも？

うん、いいかも！」しかし、彼女が予約しようと思った飛行機は、

あいにくファーストクラスの設定がなかった。

　　　　　　　　　　　　

　「ビジネスクラスかエコノミーか？なら、ビジネスしかないわよ

ね。よしと、帰りは…滞在日数1週間じゃ、ちょっと短すぎよね、

２０年ぶりのニューヨークなんだからちょっと、贅沢に１２日間か

な？行き帰りで２日間取られるからね…」彼女は１２日後の帰りの

飛行機をチェックした。

　　　　　　　　　　　　

　「さて、ニューヨーク、マンハッタンと言えばホテルはやっぱ

りプラザでしょ？よく言うね、ニューヨーク出張で『どこに泊ま

っておられるんですか？』って、ビジネスの相手からそう聞かれ

たら、スマートに「プラザです」と答えられたら、こっちのペー

スで行けるけど、聞いたこともないようなホテルだったら、そこ

でも見切られてしまうってね。ということで、セントレジスも、

ザ・ピエールもいいけど、王道で行くなら、やっぱり、プラザで

と！よし、次は部屋よね。やっぱりセントラルパーク側がいいわ

よね～そうなるとこの辺かな？広さが60平米でテラス付き？なか

なかなかいいわ。これにしようと。

　　　　　　　　　　　　

　でも、１０泊プラザっていうのも面白みがないから、プラザは

５泊で、残りは別のホテルにしようかな？ええと、それなら、

洋物ゴージャスばかりじゃつまんないから、癒し系で、最近の

トレンドだとアマンニューヨークかしらね…」彼女はするする

とアマンニューヨークに移った。

　　　　　　　　　　　　

　「クラウンプラザビルのアマンニューヨーク！面白そう！アジア

ンリゾートと正反対だけど、ここはリッチに行こうかしら？広さは

50平米以上で全てがスイート仕様、お風呂は広々、ベッドルーム

は１５畳位はありそうかなぁ。どの部屋もまあまあ満足いくでしょ

う。ロケーションは、せっかくだからマンハッタンの夜景も楽しめ

て、川も見える角部屋かな？スイートは欲張りすぎかしら？パッケ

ージはダサいから、なしで結構ですと！それではあと必要なものと

言えば、せっかくだからお迎えに来てもらおうかなぁ。そうよね。

ショファサービスね。

　　　　　　　　　　　　

　まずはプラザから行くべきだから、プラザのリムジンサービスを

利用して、ケネディ空港にお迎えよろしくね。オッケー！次は、

ティファニーへタクシーで乗り付けるんだから、早朝だし、前も

ってホテルにリクエストしておこうかなぁ。翌日はちょっと辛い

から、その翌々日でイエローキャブを1台予約、4時45分かな？

4時45分にスタートしてそして橋をいくつか渡って、遠回りし

てと。観光も兼ねてるからね。だって、通りを出て、交差点曲が

れば、歩いても３分くらいの目と鼻の先だから。じゃあ、リクエ

ストは4時半で、オッケー！もうこれで抜かりないわよね。

　　　　　　　　　　　　

　でも、せっかくだから成田まではタクシーで行こうかな？これが

一番贅沢だったりして、へへへ…それか、前泊、成田空港のホテル

のほうが楽かな…彼女はドアに掛けたドレスをしげしげと眺めて

ため息をついた。

　　　　　　　　　　　　

　「ううん…行きたいのはね、今のニューヨークではなく、ほん

とは196０年代のニューヨークなのよ。オードリーが歩いた早朝

の5番街。その時代を歩きたいのよね～」彼女はスマホを脇に置

くと、「さぁ、みんな帰ってくるから…タイムスリップはこれで

おしまい！でも、死ぬ前に、オードリーの足跡をたどる、こんな

贅沢な旅したいもんですね！」そう言って、立ち上がると、スマ

ホを開いて、今予約したものを全てキャンセルし始めた

　

上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

p.s.１

　「プラザホテルのスイートみたいなお部屋にしたいです」

と言われた方がいらっしゃいます。

やろうと思えばきっとできるでしょう。

p.s. 2　　インスタグラム、私の日常です。

　　
「もの、こと、ほん」は下の写真から、２０２４年７月号です。

　　　　　　　　　　　

p.s.3
　　　　E-Book「Bedroom, My Resort　リゾコのベッドルームガイド」

　　　　の英語版です。

　　　　写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。

　　　　　　　　　　　

　　　　タイトルは、"Bedroom, My Resort”

　　　　Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

　　　Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms

　　　　趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

　　　　チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

　　　　E-bookにしていただいたものです。
　
p.s.３
　　　　下は日本語版です。

　　　　E-Book「Bedroom, My Resort　リゾコのベッドルームガイド」

　　　どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。

　　　　　　　　　　　　　　　　　

シンプル＆ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り- 　
（木村里紗子著/ダイヤモンド社　）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Amazon、書店で販売しています。なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
　　1,944円にてお届けいたします。
　
　ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　
　　　　お申込はこちら→「Contact Us」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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