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リサコラム
連載923回
      本日のオードブル

『Audrey』

第13回 最終回


「アンネ・フランクと」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。



黒いふさふさした髪の毛

広い額、濃い眉

ギリシャ彫刻のように

彫りの深い顔立ち

まさにユダヤ人の特徴を表した

美しい少女の名は

永遠の13際、アンネ・フランク

 



第13回 最終回 「アンネ・フランクと」




 「こんなことをしてる暇はないわ」彼女は架空のゴージャスな

ニューヨークの旅行計画をスマホで全てキャンセルすると、自分を

奮い立たせるかのように左右に頭をふってから身震いした。


            


 家族がまもなく帰ってくる。夕食を終えると後片付けをし、順々

に入浴する間に、家族分の洗濯をし、そして、主婦でもある彼女が

最後に入浴して、同時にお風呂掃除をすると、やっと長い1日が終

わる。毎日の繰り返されるこの日常のルーティンから束の間だけ

解放されたかっただけだと、内心、彼女は架空の旅行計画を笑い

飛ばした。しかし、そう思う度、現実には不可能な1961年の早朝

のティファニー宝石店の前に立ちたいとの思いに駆られる。


            


 彼女は家族の者がそれぞれ帰ってくる前に、オードリー・クラブ

のメンバーに向けて追伸のメッセージを送りたいと思った。それを

みんなに告白しないままで議長を辞任するわけにはいかないという

切迫した思いでもう一度パソコンの前に座った。


            


 「私はどうしても最後に申し上げておきたいことがあります。

オードリー・クラブを発足しようと思った真の理由です。それは

オードリー・ヘップバーンという一人の女性が、家族と時代に翻弄

されながらも生き延び、ハリウッドスターになり、後世に残る憧れ

の人物であり続けた理由です。それを特に若いオードリー信望者に

伝えておきたいと思うのです。メンバーの中にはオードリーと同じ

お誕生日の方もおいででしたが、オードリーと同じ時代を生きた人

々の中には戦争中のことには触れたくないと思われている方が多い

と思います。“美しいものを美しいままに冷凍保存しておきたい”、

とのいう自然な思いが、オードリーの若い頃の輝くばかりの、しか

し、あどけなさも持ち合わせる独特の気品ある美しさだけを映像に

留め、愛で、反芻し、それがオードリーのすべてであるかのように

信じ、かつての私もそうでしたが、ファッションを真似ているよう

に感じます。しかし、彼女には奥深い暗闇の部分があったからこ

そ、オードリー・ヘップバーンが出来上がったのだと私は思って

います。漆黒の闇のようなものを抱えていたはずなのです。


            


 その大きな理由が世界大戦です。いまだにこの地球上に戦火が

絶えないとこと自体に愕然とします。私たちは過去に学んだので

はなかったのだろうか?といつも思います。


            


 オードリーはその戦争の只中に青春を迎えていたのです。そこに

重要な鍵が隠されています。ナチスドイツがヨーロッパを席巻し始

めて、オードリーたちはイギリスより安全だと思われたオランダに

避難するのですか、オランダにもドイツ軍が侵攻してきました。

最初はドイツ軍もオランダ人を丁重に扱っていたようですが、

オードリーも秘かに加わったレジスタンスの動きが激しくなると

手のひらを返したように方針転換をしました。オランダは食糧危

機に陥り、オードリーたちは地下壕で暮らしながら、食べ物もな

かなか手に入らなかったと伝えられています。戦争中の話は、正

確な話であるかどうか疑われるものも多々ありますが、しかし、

確実なところは、オードリーはドイツ軍が撤収した後、イギリス

兵に助けられ、それから今のユニセフの前身である救援団体から

援助物資受けることで生き延びることができたということです。

それが彼女の後半の人生を、ユニセフ親善大使として、最貧国に

向かわせることになったのだと、これは明らかな事実として語ら

れて来ました。しかし、実はもっとあったのではないかと言うの

が私の推測です。


            


 それは、彼女と同じようにハリウッドスターを目指していた同い

年の女の子がいたことなのです。オードリーのおよそ1ヵ月後に生

まれたその子はドイツのフランクフルトで生まれ、戦争中はオラン

ダに避難していました。あどけなさの残る彫りの深い美しい顔立ち

はどう見てもユダヤ人の顔でした。


            


 反ユダヤ主義が厳しさを増す中、オードリーと同い年の13歳の

その少女は家族と共に秘かに隠れ家に住んでいました。そしてとう

とう、見つかって逮捕され、家族はバラバラにナチスの強制収容所

に連れて行かれることになりました。そして1年もたたないうち

に、飢餓と腐った食べ物を食べたせいでしょう、腸チフスで亡く

なります。姉のマーゴットに続いて。


            


 オードリーがそれを知ったのは、唯一、収容所から生還した父の

オットーの手によって発見され出版された彼女の日記、『アンネの

日記』を読んだ時です。片方は後に世界的に有名な女優となり、世界

中から賞賛を浴び、名声も幸せな家庭も、家も持ち、資産も形成する

ことができた。この相反する運命をオードリーは一体どう受け止め

続けていたでしょうか?ティファニー宝石店の前で着飾ったコール

ガールの天真爛漫な役の雰囲気とはまるで正反対の暗闇のような重

苦しい思い、罪のない同い年の少女が強制収容所で死なざるを得な

い運命にあった戦争体験をオードリーなら片時も忘れたことはなか

ったと思われます。豊かな暮らしをしていること自体にも罪の意識

も感じていたと思います。そして、後半生のユニセフ親善大使とし

ての行動に向かわせたのだと思います。


            


 つまり、その悲惨で残酷な時代の中で、同じ場所に生きていた二

人の女の子がそれぞれ、別々の方法で世界中の誰もが知りうる女性

となったことの意味をよく考えながら、別の代表者により、オード

リー・クラブを存続させていっていただけたらと願っております。

これを私の辞意の言葉とさせていただきたいと思います。」彼女は

1人のオードリーの辛抱者としてそう言葉を締めくくるやっと、

思い切って送信ボタンを押した。


            


 「さて、晩御飯のテーブルをセットしなきゃ」彼女は立ち上がった





 



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

 同い年のオードリーとアンネ・フランクは第二次世界大戦中に

偶然にも同じオランダにいました。

ただ、アンネ・フランクはユダヤ人だったために、

自動的に強制収容所に送られ、13歳のあまりに短い人生を終え、

世界中の人が知る少女となりました。

イラストはモノクロのアンネ・フランクから想像して

色を付けて描きました。私が中学生1年生の頃に読んだ

『アンネ・フランクの生涯』というほんの表紙の

アンネ・フランクの写真がこの服を着た

アンネ・フランクです。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2024年7月号です。



           


p
.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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