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リサコラム
連載935回
      本日のオードブル

『空想の部屋』

第12話

「マリー・ルグランの

つぶやき」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




マリー・ルグラン嬢は

白いブラウスに黒いエプロンドレス

そして青いリボンを首に巻き、

いコーデディネートした

青いリボンを頭にも。

バックのグリーンのカーテンは

ベルベットでしょうか?

ステキな永遠の美少女です。

(原画では)


 



第12話「マリー・ルグランのつぶやき」




 「1867年、私はこの年に生まれました。そして1875年

から、ずっとこの絵の中にいます。あら、まだ、自己紹介をして

いませんでしたわね。私の名前はマリー、正式名称は、マリー=

アデルフィーヌ・ルグランと言います。どうぞよろしくね。



            


 でも、私、ご存知かしら?有名な画家さんが私を描いてくださ

ったのですけど、でも、肝心の私の名前と素性をご存知の方は

そう多くないんじゃないかしら?そこが、ちょっと寂しいとこ

ろかしら。その画家さんの名前はルノワールって言います。

ルノアールって言えば、印象派の画家の大家って感じでしょ?

「帽子の女」みたいな女性の肖像画をたくさん描かれています

けど、でも、私みたいな少女の絵も超お得意なのです。


            


 私はこれでも8歳なんですけど、見る人によっては12歳から

4歳くらい?っていう方もいらっしゃるの。そんな老けた感じ

にも見えますかしら?そこが、私的にはちょっと気に入らないと

ころなんですけど。でも、まあ、私のこの肖像画は日本の方にと

ても人気で、日本のお家とかいろんな公共施設にたくさん飾られ

ているようで、ほんとうれしい限りです。その理由、ご存知です

か?


            


 1つは私の顔がとても東洋人の好みらしいんです。青い目に

金髪で、西洋人ぽくて、そして、永遠の若さと美っていうのか

しら?あら、自画自賛かしら?これも日本人、大好きでしょう?


            


 そして、もうひとつ、私がおめでたい理由は、私の生まれた

年にあるの。日本の慶応3年、明治元年。その年は、日本は大

変革の年、つまり、「大政奉還」ということがあって、267年

続いた徳川幕府の権力が、朝廷、つまり、天皇に渡された年って

こと。徳川幕府は世襲制だから、ヨーロッパで言えばハプスブルク

家みたいなものよね。それも、1789年のバスチーユ襲撃から

始まったフランス革命から100年かかって、鎖国日本に変革の

波となってゆっくり押し寄せて来ていたってことでしょうね。


            


 そして、さらにもうひとつ、私、マリー・ルグランがおめでたい

理由は、明治の文豪、夏目漱石と同じ年の生まれだってことなん

です。まあ、そんな風に思っていただけたら、私がもっと、近しい

お友達になるかしら?漱石さんは50歳で亡くなったけど、8歳

の私は150年間ずっとこの絵の中にいるのよ。150年前に生き

ていてよかったと思うのは、今ならおばあちゃんになった顔が、

すぐネットで検索できるでしょ。でもね、私のおばあちゃんに

なった顔なんてどこにも出てこないから、そういう意味ではちょっ

と安心かも…だって、“マリー・ルグランの今”なんて写真がビフ

ォーアフターで出てきたら、私、もう生きていれられないもの。


            


 今では、肖像画は遺影用に描いてもらう人もいるらしいけど、

ほとんど描かれないでしょ?でも、写真がなかった当時は、写真

みたいな精密な美しい仕上りの絵がすばらしい優れた絵だった

の。だから、絵具を塗りたくったみたいな、印象派の画家たち

の絵は、フィニッシュされていない、つまり、下書きの絵だっ

て、こてんぱに批判されたらしいわ。でも、それから写真が出

てきて、今度は、フィニッシュされた美しい仕上がりの絵を描

いてきた画家さんたちがすごい危機感を感じたようで、そこか

ら印象派の絵が見直されてきたってことなの。


            


 どうかしら?今、世の中で1日にどのぐらい顔写真が撮られて

いるかしら?かわいい赤ちゃんとか子供とか、みんなが1日に1

枚ずつ写真撮ったとしたら1日で80億枚の顔写真ができている

ってことよね。想像さえつかないけど。でも、私、そんな写真の

世界になってもこうして生き抜いて、150年間も生きて来られ

たってことだから、今、158歳。でも、絵の中では永遠の美し

く若い8歳、すばらしいことだわ。ほらね、肖像画って、

すてきでしょ
?」




  



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

 『ルグラン嬢』1875 
 
ピエール・オーギュスト・ルノアール(1841-1919)作の

iPadでの模写です。

原画とは似ても似つかないルグラン嬢の顔で、

ルノアールさま、これを模写だとは申しません。

模写しながらわかることは

すばらしい絵だということです。

この表情を絵具でどうやってだせるのか、

まったくわかりません。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2024年9月→10月号です。



           


p
.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
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