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リサコラム
連載938回
      本日のオードブル

『空想の部屋』

第15話

「コロンバス大通りの雨」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




グレイッシュな風景

赤レンガの街の

グレイッシュな風景

雨が降っているようです。

場所はロンドン?パリ?

いいえ、

印象派絵画が飛び火した

アメリカ、ボストンです。







 



第15話「コロンバス大通りの雨」




 「雨は人を選ぶ」そう言えばなにか、謎めいたものを感じさせる

かもしれませんが、それは私が長年経験した結果というより法則だ

と信じています。実に私は雨男だからです。


            


 そんなの迷信じゃないの?という方もいるようですが、雨男、

雨女は現実に存在したとして、彼らが何かの作為をやっているわ

けではない以上、雨が人を選んでいるといったほうが理にかなって

いると思います。


            


 私は学生時代からモーターバイクが趣味でした。レストアした

り、磨いたり、だけのモーターバイクファンもいるようですが、

私はその反対で、手をかける趣味はなく、ただ走ること、

それも、いい季節にゆっくりドライブする感覚で走ることが好き

なのです。紅葉の季節ともなれば、あたりが黄色とオレンジと赤

に染まる山道をオレンジ色の紅葉の吹雪を浴びながら走る、あの

感覚はもう何にも代えがたいと思います。


            


 しかし、不運なことに友人とツーリングに行く時はほぼ、8割

方、雨なのです。過去に、私が予定を後で変更した日が雨だった

ということが3回続いて、私は見事に雨男のレッテルを張られま

した。雨の日のツーリングほど最悪なものはありませんから。

スリップの危険性もあれば、ぬかるみの道をずぶ濡れで走ると

なればもう大変で、二度と雨男とは行くものか!と思われたよう

です。無論、私が作為的に雨の日を選んだわけではありません

から、雨は人を選ぶと解釈するしかないのです。それ以来、誰か

とも、自分ひとりでも、バイクでのツーリングをやめました。そ

んなことから私は雨を異常に意識するようになりました。


            


 そして、あるとき、開き直って、雨男とは雨に選ばれし者であ

るから、それなら、雨を好きになろうじゃないかと思ったので

す。そしてその通りになりました。


            


 好みで言えば、梅雨の雨より、秋の霧雨。リタイヤした今とな

ってはしとしとと降り続く雨を眺めながらの読書も最高です。

さらに言えば、窓から降り込んでくる小雨、雨の中、傘をささず

に歩くのもよし、ジーン・ケリー主演のミュージカル、

『雨に唄えば』を真似て雨傘をさして水たまりでステップを踏

む、これまた最高です。今はそれをやりたくて社交ダンスを始め

ました。それなら雨の多い地域に引っ越せばいいのかとまで考え

ています。


            


 そんな雨男が出会った雨の絵画が『コロンバス大通り、

雨の日』という印象派絵画でした。その画家はあまり日本では知名

度が高くない、チャイルド・ハッサムです。彼はフランスで印象派

絵画を学んだアメリカ人ですが、葛飾北斎の斜めに降る雨とは正反

対の、雨粒を描かず、雨を表すその気品あるタッチに魅了されたの

です。絵の時代は19世紀末、1885年。街には馬車が走ってい

ます。移動手段のほとんどが馬車だった時代、雨の日の馬車は、

しぶきや泥が飛んで御者は大変だったろうとは想像できますが、

その中を疾走する馬と御者、霧に煙った薄暗い雰囲気は何度見て

もロマンティックで見飽きることがありません。私は彼ほど雨の

表現が上手い近代画家はいないと思います。この19世紀末の

近代は、ヨーロッパであれ、アメリカであれ、日本であれ、馬車

や人力車の時代で、今の風景とはまるで違います。傘をさしてい

ても山高帽をかぶっている紳士たち、ほぼすべての人たちが帽子

をかぶっていました。なぜ帽子をかぶっていたのだろうか?それ

は流行もあったでしょうが、しかし、皆、それぞれに自分のファ

ッションを見られると意識していた時代ではなかったのかとも考

えられます。Tシャツ短パンのようなラフな服装の人間はいませ

ん。男性はみな、シャツにスラックス、革靴、帽子に蝶ネクタイ

か、ネクタイをしています。労働者階級の人間であったとしても

帽子をかぶっています。


            



 コロンバス大通りの絵は少し緑がかり、ところどころオレンジが

かったグレイッシュな風景です。雨がそぼふる降る街と人々の姿は

実にノスタルジックです。けばけばしい電飾も、飛んでくる電波も

なかったでしょう。しかし、残念ながら、その時代には、人は

もう戻れません。


            


 私にもし1つだけ願いが叶えられるとしたら、19世紀末のこの

時代、アメリカのこの赤レンガの街ボストンのコロンバス大通り

にタイムスリップしたいと思います。私は雨男ですから、きっと

タイムスリップした時も雨が降っているでしょうが…。今はそん

なセンチメンタルな気分になる秋の雨の夕暮れですが、実は今、

雨を少々、憎らしく思っているのです。


            


 実は、『雨に唄えば』のジーン・ケリーの真似をして、大雨の

中、傘をさして、若い頃と同じように、縁石をひょいと乗り越えた

つもりで、まあ、乗り越えられてなかったのです。つまり足が上が

っていなかったということです。そして滑って転んで、そのまま

救急車で骨折した足を抱えて運ばれるという、雨男の落ちがつき

ました。


            


 そんなわけで「雨は人を選ぶ」。私自身が作った格言を、

つくづく噛みしめながら、雨の街を自宅マンションの窓から見下

ろしているわけです



  



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

 『コロンバス大通り、雨の日』1886年 
 
チャイルド・ハッサム(1859-1935)作

iPadでの模写です。雨の日を雨を描かずに描くのは

この時代は普通だったようですが、

雨つぶはつぶとして見えるものではないと考えると

正しいですね。模写は難しいです。



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2024年10月号です。



           


p
.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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