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リサコラム
連載949回
      本日のオードブル

『名画の中へ』

第1話

「真珠の耳飾りの

中年女性」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




真珠の耳飾りの

あれ?少女ではなく

大人の女性?

まあ、そんなことも世の中には

起きるようです。




 



第1話  「真珠の耳飾りの中年女性」



 「私が初めてあの少女と対面したのは小学4年生でした。透き通る

ような白い肌、光を放つ、潤んだ黒い瞳の美少女は音楽教室のピアノ

の脇の壁で額に入れられ、ぽつんと掲げられていました。


            


 その音楽教室の横から下足箱のある土間に繋がっていましたが、

ある放課後、下校しようと音楽教室の前を通ると、ピアノの音が聞

こえてきました。窓から中を覗き込んでみたら、上級生の女子生徒

がピアノの練習をしていました。それがベートーヴェンのピアノソ

ナタ『月光』だと知ったのはずっと後のことでした。ベートーヴェ

ンと言えば、ジャジャジャジャーンという、『運命』か、昼休みの

チャイムとして使われていた『エリーゼのために』しか知りません

でしたので、『月光』の静かに暗く始まる音が流れてくると、その

ピアノの横の壁にいる彼女の顔がぽっと月光に照らし出されている

ように見えたのです。


            


 それから次の日も、また次の日も、その生徒はあの少女の横で

『月光』を練習していました。発表会が近いのか、自宅にはピアノ

がないのか、あるいは、単にピアノが弾きたいのかわかりませんで

したが、その生徒はとにかく、美少女に聴かせるように『月光』だ

けを毎日、練習していたのです。私は廊下の窓越しにしばらく聴い

ていることが多くなりました。すると、あの少女は私の方をじっと

見つめながら、一緒に『月光』を聴いていたのです。


            


 その絵のことは何も知らないまま中学生になり、美術の時間に、

それはオランダの画家、ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾り

の少女』という有名な作品だと知りました。有名な絵画のコピーが

たまたま音楽教室のピアノの横の壁にあったこと、その時『月光』

がピアノから流れていたことで、少女の整った美しさと月光の荘厳

さが合体してしまい、私の記憶に映像としてずっと残ることになっ

たのです。


            


 私はそれから大学生になり、ある日、図書館で美術書を何気なく

めくっていたとき、あの少女と再会を果たしました。そして同時に

あの時の感動が再燃したのです。詳しく調べているとミステリーに

包まれた絵であることがわかりました。1665年から66年頃に描か

れた『真珠の耳飾りの少女』は転売をくり返された後、最後はタダ

同然のような価格で人手に渡り、その後、今、その美少女がいるオ

ランダのマウリッツハイス美術館に納められたといいます。今後、

その美術館から外には出ることはなく、長年打ち捨てられていた美

少女の価値は推定で100億円は裕に越えるだろうと言われている

ようでした。その少女が誰だったかがずっと話題に上っているよう

ですが、私はこの少女はどうしてこの大きな真珠のイヤリングをし

ているのか、こんな大きな真珠があるとしたら恐ろしい値段だろう

に、きっと裕福な家の少女だろう、いや、あれは召使いだったのか

?長い年月を経て薄れてしまった絵の背景と対照的に浮き出てくる

ようなターバンの藍色に不思議を感じました。さらに、ドレスの下

の方はどうなっているのだろう?と。


            


 しかし、仕事を始めるとそんな余裕を失い、独身キャリアウーマン

として働き続け、気づけば、さらに20年の時が流れていました。

そしてある日、レストランのピアノの生演奏で聴いた音が私の40

年間を瞬く間に巻き戻しました。それはベートーヴェンのピアノ

ソナタ『月光』でした。小学校の音楽教室の外であの少女と一緒に

聴いたあの音です。あの時の感動が私のもとに舞い戻ってやって

きたという感覚でした。私はぜひ、あの少女に会いに行かなくてはと

思うようになりました。オランダのマウリッツハイス美術館で、

あの少女と実際に対面するのだと!しかし、これほどまで長く思い

続けたあの美少女との対面をさっと見て移動するなんてとてもで

きないと思いました。


            


 私は考えた末、1つの計画を立てました。それはその彼女の服に

似たようなものを着ていくことです。絵には上半身しか描かれてい

ませんし、どんな服だったのかも正確にはわかりません。それなら

私の解釈でいいはずだと、ゴールドのサッシュを巻いた水色のブラ

ウスとサファイアのロングプリーツスカートを履いて、頭に青いタ

ーバンを巻き、その絵の前に歩み出たのです。


            


 するとなんていうことでしょう。たくさんの人が私に話しかけてく

るではありませんか!私は後で、たくさんの人と記念写真を撮ること

になりました。まさかこんなことが起きるとは思いしませんでした。


 そこで人生の歯車がギアをチェンジしたのです。私はフェルメール

を研究している数人と知り合いになりました。そして1年余コンタク

トを続けた後、50歳を過ぎて、私はその中のプロカメラマンを人生

の伴侶に選ぶことになり、さらにフェルメールを学ぶことになりま

した。


            


 あの美少女よりかなり老けてはおりますが、私は想像上のフェルメ

ールの衣装を着て結婚式を挙げることになったのです。人生とは何か

きっかけになって運命が切り開かれていくのかわかったものではあり

ません。しかし、1つだけ確かなことは自らアクションを起こさなけ

れば、じっと待っていても何も起きないということです。だまされ

ることはあっても、です。


            


 真珠の耳飾りをつけた少女の澄んだあの瞳は、360年の間でたく

さんの人の人生を変えたことでしょう。それほどの魔力を持ってい

ると私は確信しています。あの絵に私がもしタイトルをつたならら、

『パールの耳飾りをつけた運命の女神』とでもつけたいほどです、




  



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

 フェルメールの模写とは畏れ多くて言えません。

下手な絵で恐縮です。



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2025年1月号です。



           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
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